派閥の力学と役割
安倍首相の突然の退陣表明を受けた自民党総裁選挙で、派閥の力学が注目されています。
派閥単位のまとまった動きが、菅総裁誕生への流れを、あっという間に決定的にしたからです。
かつては、政党よりも強力な権力集団だとも言われていました。
ところが、1994年(平成6年)に創設された、政党助成金制度と、1995年(平成7年)に導入された衆議院議員選挙の小選挙区比例代表並立制により、派閥の力は相対的に弱まってきたとされます。
そもそも派閥の役割は?
中北浩爾一橋大学教授の著書、「自民党ー『一強』の実像」によるとこうなります。
①総裁選挙の支援
②国政選挙の支援
③政治資金の調達
④ポストの配分
+人的ネットワーク
現実はそうでしょうが、前提(建前)として、政策や理念を共有する議員が集まる政策集団です。
自民党には7つの派閥があります。
細田派(清和政策研究会) 98人
麻生派(志公会) 54人
竹下派(平成研究会) 54人
岸田派(宏池会) 47人
二階派(志帥会) 47人
石破派(水月会) 19人
石原派(近未来政治研究会) 11人
無派閥 64人
計 394人
無派閥が2割近くいることが、派閥に属することのメリットが昔ほどではないことを物語っています。
今回の総裁選挙は、国会議員票394票と都道府県連票141票の計535票で争われます。
菅官房長官は、派閥と無派閥の菅グループを含め国会議員票の7割をかためたと報じられています。
それだけで、535票の過半数を越えますので、派閥がまとまって行動すると、決定打となることで、派閥の力学と役割にスポットライトが当たっているということでしょう。
「人間3人寄ればどこにでも派閥はできる」と言われる位です。
「派閥は諸悪の根源」と酷評するメディアもあります。
しかし、このように「派閥」と呼ぼうが呼ぶまいが、「仲良し集団」は人間社会必ずできます。
「派閥には良いところもあるし、悪いところもある」(菅官房長官)との考えが、妥当ではないでしょうか。