「運を育てる」 | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

「運を育てる」

 「運を育てる」は、平成5年に7度目の挑戦で、前人未踏の50歳にして、将棋界の最高峰タイトル、「名人」を獲得した、故米長邦雄元名人の著書です。

 

「今回の勝因は、なんといっても“女神に好かれた”ことに尽きます。どんな苦労をしても、どのような努力を積み重ねても、この女神に嫌われれば幸せになれません。女神の研究をして五十年。彼女に好かれるノウハウを、あまねく皆様方に公開したのが本著です。」

 

 こう「まえがき」に書かれているように、実力がすべてとされる将棋の世界でも、運を育て、運を味方につけることがいかに大切かを、豊富な具体例をもとに説かれています。

 

 「名人戦の第一局が近づいたある日、私は女房がいないときを見計らって、子どもたち三人を集めた。『これは、絶対にお母さんに内緒だからな。お父さんの人生で、いちばん運がよかったと思っていることは、お前たちのお母さんと結婚できたことだ』 女房には、その日の夕方のうちに、三人の口からそれぞれ別個に伝わっていた。なぜそんなことをしたかと言えば、勝負に最も影響するのが、カミさんの精神状態だからである。」

 

 軽妙洒脱人間味溢れるノウハウの数々が開陳されています。

 “早熟の大天才”は、あまりにもすごすぎて、参考になりません。しかしながら、“中年の星”の方は、何とか真似ができそうです。

 

 「自分も同じような歳だが、米長さんは私の夢を実現してくれた。また、勇気を与えてくれた。頑張り続けさえいれば、何歳になっても人生に希望は持てるものだということを、あなたは教えてくれた。ありがとう。」

 実際、男女を問わず、四十代、五十代の方が、異口同音に、このようなメッセージを送ってくれたといいます。