Lの時代へ(その3)
第1部 膨張都市
「膨張都市」では、一極集中の光と影を取り上げています。
「大相続時代」を迎え、今後20~25年間に相続される金融資産の推計は約650兆円。うち120兆円が地域を超え移転し、東京圏へは51兆円もの資産が流れ込む。
岡山から首都圏に吸収されるのは1兆円。
国内総生産(GDP)で東京の総生産は、93.1兆円で、GDPの国別ランキングでも16位に相当する。
「ベンチャー白書2016」によると、15年度の国内投資額874億円のうち東京だけで62%、関東地方で80%、中四国地方への投資割合はわずか2%。
都内の75歳以上の高齢者は、2015年から10年間で50万人増の197万人となる。都内の特養待機者は、4万3千人(13年11月時点)。介護サービス職種の有効求人倍率は7.27。25年度には介護職が3万6千人不足する。
全国で最多の8466人(昨年4月現在)もの待機児童を抱える都内では、各区が保育士不足を補うため厚遇を競っている。
様々な分野で一極集中が続く膨張都市になっていることをレポートしています。
「取材を終えて」で岡山一郎記者はこう結んでいます。
「危機感をあらためて共有し、一極集中という歪みを生んできた国の在り方を変え、新たな社会を紡いでいく必要がある。それは東京を軸としたグローバル経済に流されず、風土に根ざしたローカル経済の循環も確保し、地方居住を基にした多極分散型で持続可能な社会だ」。