Lの時代へ(その2)
プロローグ 遠く離れて
プロローグでは、高度成長期に故郷を離れて都会へ出た人達の過去と現在にスポットを当てています。
世代が交代するにつれて、様々な課題が浮かび上がってきます。
島根県隠岐島の海士(あま)町は、2千人余りの小さな町です。全国からの高校生留学やユニークなまちづくりで有名です。
3年前、私が主宰する中山間地域振興政策研究会でも超党派で視察に行きました。
「ないものはない」 ないものはないの断定と、ないものはないーつまり必要なものは揃っているとの2つの意味を含めたキャッチフレーズにまちづくりの強い意気込みがうかがえます。
その海士町で、若者たちにUターンを促すため「故郷」の替え歌を作っています。
〈志を果たしに、いつの日にか帰らん〉と。
阿部光希記者は書いています。
「『果たして』と『果たしに』。助詞一つの違いに、経済成長というものさしだけでは測れない地域社会の多様性と誇りを取り戻そうとする人々の思いが詰まっている」。
進学や就職で一旦、都会へ出ても〈志を果たしに帰る〉若者が、そして、都会に育っても地方へ移住する若者がどれだけ増えるか?
プロローグは投げかけています。