1万人の人生を見たベテラン弁護士が教える「運の良くなる生き方」(その2)
第4章 「徳」
運は人徳で決まる。
「天爵(てんしゃく)修めて、人爵(じんしゃく)これに従う」(孟子)=徳を積めば、富や権力などは自然に手に入る。
運を決めているのは人間性。理由は簡単。
人間性の良い人は、争いが少ないから。
争いは不幸の元。
経営者の品性は企業の運を間違いなく左右する。
気持ちよく損得を忘れて働くと、運が良くなる。
財産相続の相談の経験から言うと、大きな財産を引き継がせても、実のところ、あまり子孫のためになっていないことが多い。
財産よりも徳こそ遺すべき。
お金はたくさん手にいれたのに、少しも幸せになっていない人が本当に多い。
伸びている会社には元気がある。
特に経営者の元気が運を呼ぶ。元気は人徳。
(会社を創業して50%が3年で、80%が5年で、95%が10年で倒産する)
心は磨けない、目に見えないから。
目に見えるものを、まず磨くこと(例えばあいさつ)。
第5章 「言葉」
人付き合いを良くし、運を開くのに良い言葉は三つある。
人を思いやる言葉=人と人との信頼を築く。
励ます言葉=人の心を明るくする。
褒める言葉=人を積極的にする。
コミュニケーションは相手を丸ごと認めるところから始まる。丸ごと受け入れるコツは、ただ話を聴くこと。
ハガキは心をつなぐから、開運の方法となる。
運を良くするなら手書き。
第6章 「善」
運を良くするには、善いことを積み上げると良い。
しかし善いことを積み上げるのは難しい。
善事陰徳を積めば、「易経」という書物に「善を積む家には必ず余慶あり」と書かれているように、必ず運命が改まる。
運が良い人は、「人の役に立つ」「神さまに好かれる」ことをしている。
最後に、本書を推薦する鍵山秀三郎さん(イエローハット創業者、日本を美しくする会相談役)の言葉を紹介しておきます。
「世の中には『成功本』と呼ばれるものが溢れていますが、どれもがあまりに個人の欲求実現にフォーカスしたものであり、本当の意味で人々の幸福に役立つのか疑問を抱かずにはいられません。
西中先生はそうした考えとは一線を画し、目先の欲にとらわれず『徳』を積むことこそが幸運を呼び込む秘訣であると語っておられます。
利己的で短期的な利益追求は、自分が歩む未来への道を狭め、長期的に見た場合結局は運を落とすともいわれています。
私はこれに心から共感いたします」
鍵山さんは、自社から始まって、素手でトイレを掃除する運動を全国に広めた“掃除の神様”です。
陽徳陰得をこれほど積まれた方も珍しいでしょう。
その心は、著書名にもなっている「凡事徹底」です。
西中弁護士の考えも、奇をてらったものではなく、まさに「凡事徹底」だと思います。
しかしながら、「凡事徹底」ほど難しいこともありません。それが冷厳な現実です。
分かっちゃいるけど実行できないからです‥‥。