「ゆるキャラ」=「ない仕事」
そもそも、「ゆるキャラ」という絶妙なネーミングの名付け親は誰でしょうか?
みうらじゅんさんです。
漫画家、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなどマルチタレントの持ち主として幅広く活躍されています。
最新刊の著書、「『ない仕事』の作り方」(文藝春秋)で、その“手口”を学んでみましょう。
私の仕事をざっくり説明すると、ジャンルとして成立していないものや、大きな分類はあるけれどまだ区分けされていないものに目をつけて、ひとひねりして新しい名前をつけて、いろいろ仕掛けて、世の中に届けることです。
ここ数年ブームが続いている「ゆるキャラ」も、私が名付けてカテゴリー分けをするまでは、そもそも「ない」ものでした。
元々は、各地方自治体や団体が独自に作っていた単なる「着ぐるみ」だったものが、「ゆるキャラ」となった今、もう私の手など及ばないほどの一大産業となりました。
私が「仕掛け」をするのは、本当に好きになったものだけなのです。そして、その“本当に好きで、まだ皆が知らない面白いこと”を世界に届けたい。
そのためには「ブーム」を起こすことが必要なんです。ブームにならないと、誰も見てくれませんから。
「マイブーム」を広げるために行っている戦略を、私は「一人電通」と呼んでいます。
ネタを考えるのも自分。ネーミングするのも自分。
デザインや見せ方を考えるのも自分。雑誌やテレビやイベントなどで、それを発表するのも自分。
クリエイティブだけでなく、戦略も営業もすべて一人で行うわけです。
すべて一人で行うのは、普通の人には、とても出来ない仕業です。
それをやり切るのが、みうらじゅんさんです。
そこが、マルチタレントたる所以です。
その“手口”満載なのが、この「『ない仕事』の作り方」です。