知好楽 | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

知好楽

 「パナソニックの社名が松下電器だった時期、山下俊彦という社長がいた。昭和52年、先輩24人を飛び越えて社長になり、話題となった人である。

弊誌にも親しくご登場いただいたが、率直、明晰なお人柄だった。

 この山下さんが色紙を頼まれると、好んで書かれたのが『知好楽』である。何の説明もなしに渡されると、依頼した方はその意味を取りかねたという。

 この出典は『論語』である。

 子曰く、これを知る者は、これを好む者に如かず。

 これを好む者は、これを楽しむ者に如かず。

 (これを知っているだけの者は、これを愛好する者におよばない。これを愛好する者は、これを楽しむ者にはおよばない。)

 極めてシンプルな人生の真理である。

 仕事でも人生でも、それを楽しむ境地に至って初めて真の妙味が出てくる、ということだろう」

 (「長の十訓」 藤尾秀昭著 藤尾さんは致知出版社代表取締役兼月刊誌「致知」編集長)


 この言葉は、私も好きな言葉として、このオフィシャルサイトにも掲げています。

 こうありたいとの思いを込めてのことです。

 ここでいう「楽」とは、趣味や娯楽に興じる楽しさとは趣を異にします。その違いを明確にするため、先哲の多くは、「真楽(しんらく)」という言い方をしています。

 物事に無我夢中、真剣に打ち込んでいる、まさにその時に味わう楽しさが真楽なのでしょう。

 人生の醍醐味とは、この真楽を味わうことに他ならないとも言えます。

 まだまだ、その境地には遠い‥‥‥。