「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞

 「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の創設に関わった、坂本光司法政大学教授は、創設の目的についてこう言われています。


 この表彰制度創設の主な目的は、「人をトコトン大切にする経営を、ぶれずに実行している企業」を顕彰して、そうした経営を行う会社をこの国に少しでも増やすことです。

 「人を大切にする経営」の「人」とは、この地球上に住むすべての人々を指しますが、企業関係者がとりわけ大切にしなければならないのは、また、そのしあわせづくりに力を注がなければならないのは五人

の「人」です。

 その五人の一人目は「社員と家族」、二人目は「社外社員とその家族」、三人目は「現在顧客と未来顧客」、四人目は「障がい者や高齢者などの社会的弱者」、そして五人目は「出資者・支援者」です。

 私はこれまでおよそ40年間、全国各地の約6500社の中小企業を訪問し、その経営の現場をひたすら見てきました。そしてそのうちおよそ1割の企業は、好不況にかかわらず、その業績がほとんどぶれていないことに気がつきました。

 その最たる共通項とは、「人間尊重経営」「人本経営」、つまり人を大切にする、人のしあわせを念じた経営が貫かれていることでした。


 坂本教授の考えの真骨頂は、「顧客」ではなく「社員と家族」を一番に大切にすべきだと主張されていることです。

 こんな教授だからこそ、「47都道府県民の幸福度指標・ランキング」も初めて作成することができたのでしょう。

 少数意(異)見かもしれませんが、真理や道理にかなった考え方は、本当の意味の価値があります。


 参考までに、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞創設の経緯を紹介しておきます。

(「日本でいちばん大切にしたい会社3」 坂本光司著 あさ出版より引用しました)


 「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の創設の経緯

 わが国には、企業に対する数多くの表彰制度があります。優れた発明や発見、あるいは業績、ランキングといったものに対する表彰制度です。

 しかし、こうした表彰制度について、私は以前から疑問を感じていました。

その評価基準のなかに、企業が果たすべき最も大切なこと、つまり五人(社員とその家族、社外社員とその家族、現在顧客と未来顧客、障がい者や高齢者等社会的弱者、出資者・支援者)の幸せに関するものが全く入っていなかったからです。

 ですから、表彰された企業のなかには、不況のたびにリストラを繰り返している企業、あるいは、わずか1.8パーセントという障害者法定雇用率をも順守していない企業などが、少なからず存在しています。

 そうした企業が、国や地方自治体あるいは業界団体から評価されるというのは、どう考えてもおかしいと感じるのです。

 こうしたことから私は、『日本でいちばん大切にしたい会社』という本をきっかけとして、どこまでも人を大切にする企業を増やすための方策を、あさ出版の佐藤社長や、研究仲間とずっと議論してきました。

 行き着いた結論のひとつが、「人を大切にする企業」を表彰する制度を設けることでした。この試みに、多くの方々が行動を起こしてくれました。そして日刊工業新聞社、あさ出版、法政大学の三機関を主催者とし、経済産業省など産業支援機関の全面的な支援と協力を得て、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞という名の表彰制度が創設されたのです。

 経済産業省や、中小企業庁の担当官は、本当に尽力してくれました。彼らの熱意と協力がなかったならば、こんなにも早く、大賞は創設されなかったと思います。

 ただ当時、民間活力によってこの賞を創設・運営しようと考えたものの、あさ出版の佐藤社長も私も、資金面で確かな裏付け等があったわけではありませんでした。

 しかし、噂を聞きつけた多くの企業経営者やゼミに所属する社会人学生たちが、私たちの行動に賛同してくださり、多額の拠出金を提供してくれたのです。