「阿比留のブログ」 | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

「阿比留のブログ」

 靖國神社に関連する本を書庫で検索していて、興味深い文章を見付けたので紹介します。

 産経新聞記者の阿比留瑠比(あびるるい)さんの「阿比留のブログ 国を憂い、われとわが身を甘やかすの記」の一節です。

 小泉政権末期の2006年8月2日のブログです。

 何が興味深いかというと、「君主論」で有名なマキァヴェッリの考えを紹介していることです。

 マキァヴェッリの深く鋭い洞察は、現代の政治状況を適確に射抜いているように思えます。


 「小泉首相は、中国がどんなに日本の政界、財界、マスコミ界を総動員して靖國参拝批判を展開しても年に一度の参拝は続けました。

 そうすることによって、日中関係を悪くしたというよりも、臣従体制から対等関係へと正常化したのではないかと愚考しています。

 反対の悪い例が、昭和60年8月15日に靖國に公式参拝しておきながら、翌年からは中国に配慮して中止してしまった中曽根康弘元首相ですね。さてここで、マキァヴェッリの言葉を紹介したいと思います。

 小泉首相と中曽根氏の事例に符合する部分があるからです。


 《君主は、自らの権威を傷つけるおそれのある妥協は、絶対すべきではない。

 たとえそれを耐え抜く自信があったとしても、この種の妥協は絶対してはならない。なぜならほとんど常に、譲歩に譲歩を重ねるよりも、思い切って立ち向かっていったほうが、たとえ失敗に終わったとしても、はるかに良い結果を生むことになるからである。

 もしも、正面衝突を回避したい一心で譲歩策をとったとしても、結局回避などできないものだからだ。

なにしろ、譲歩に譲歩を重ねたところで相手は満足するわけでもなく、それどころか相手の敵意は、あなたへの敬意を失ったことによって、より露骨になり、より多くを奪ってやろうと思うようになるのがオチなのだ。

 また、思慮もない単なる譲歩策によって示されたあなたの弱味は、味方になり得た人々も失望させ、彼らを冷淡にさせてしまうだろう。

 反対に、もしあなたが、相手の真意が明らかになるやただちに準備をし、たとえ力が相手に劣ろうととも反撃に出ていたら、敵といえどもあなたに敬意を払わざるをえなくなるのである。

 そして、他の国々も敬意を払うようになり結果としてあなたは味方を獲得することになる》(塩野七生談)」