「日本政治のウラのウラ 証言・政界50年」 | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

「日本政治のウラのウラ 証言・政界50年」

 12月9日発刊されたばかりの「日本政治のウラのウラ 証言・政界50年」(講談社)は、聞き手はジャーナリストの田原総一朗さん、語り手は森喜朗元総理大臣のオーラル・ヒストリーです。


 虚心坦懐に語られています。

 それだけに、巷間報道された記事とは違う内幕が全体に散りばめられている、興味深くも実に面白い本です。一気に読みました。

 私は本を紹介する時、書評ではないので、必ず、印象に残った文章や感銘を受けた言葉、あるいは著者が最も訴えたい(と思われる)ところを原文通り紹介するようにしています。

 

 田原総一朗さんの「はじめに」から―。

 

 「森さんは総理大臣や文部大臣時代、マスコミから相当叩かれていますが、日本には数少ない政治哲学を持った本物の政治家のひとりです。その哲学とは、『ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために』というラグビーの精神に基づいて、とことん話し合うことです。実は、この精神こそが西欧民主主義の核心なのです。

 正直なところ、森さんがここまで話すとは思いませんでした。実際に対談した僕が読んでも、こんな赤裸々に事実を話していいのだろうかと思う証言がたくさんあります。

 本書では、政治家の交渉とはどういうものか、交渉で勝つ、あるいは負けるとはどういうことなのか、といったことがリアルに示されています。読者は、森喜朗という稀代の政治家の証言を通して、政治とは何か、政治家とはどういう職業なのかを具体的に理解することができるでしょう」


 森喜朗元総理大臣の「おわりに」から―。


 「田原総一朗さんの的確な質問、実に巧妙な『誘導尋問』によって『つい本音を話してしまった』というのが嘘偽りのない感想です。

 結果的に『いいものになったなあ』と嬉しく思っています。

 1969年に32歳で衆議院議員に初当選し、政治の世界に足を踏み入れてから2012年の引退まで43年間にわたって、政治家として活動してきました。

 何の政治的バッグもなく、財力もなかったので、まさに徒手空拳で自らの道を切り開いてきたと言えます。

 私を応援してくれた人達は何の利害関係もなくただ私という人間を信じ期待して支持してくれたのです。

 だから、私はいつも友達であり、仲間であり、恩師であるという気持ちで、支持者と接してまいりました」


 私も、支援者は友達であり、仲間であり、恩師であると思ってきました。

 政治家森喜朗の実像と虚像の落差を知らしめてくれる本でもあります。