「熔(と)ける」 | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

「熔(と)ける」

 11月17日に発刊し、12月6日には第6刷発行となっているので売れ行き好調なのでしょう。

 「熔ける 大王製紙前会長井川意高(もとたか)の懺悔録」です。

 カジノで106億8000万円失った、大王製紙創業家三代目転落の記であり、半生の記でもあります。

 6月に最高裁で、懲役4年の実刑判決が確定し、現在は喜連川社会復帰促進センター(PFI方式による刑務所)に服役中とのことです。(借入金は自己資産で完済)

 最後にこう書かれています。


 「ギャンブルに没入するあまり、周囲のことがまるで見えなくなり、連結子会社から借り入れを繰り返していた。自分勝手な言い訳を繰り返しながら、さらに蟻地獄の奥深くへと落ちていった。

自分が犯したあまりにも愚かな罪から、誰かに何かを伝えるほどのものは何もない。

 本書を手にとってくださった方には、一人の愚かな転落記として読んでいただければ充分だ。

一番信用できないのは、自分―106億8000万円の代償として私が得たものは、かくも悲しい事実のみだった」


 「事実は小説より奇なり」と言いますが、ノンフィクションではなくフィクションといってもよいような世界です。

 お金の力=魅力と魔力を余すところなく伝えてくれる本です。

 “善人”であるが故に無限地獄に落ち込んだのかもしれません。