「創める」
はじめるは、漢字で書くと普通は「始める」と書きます。人生や生き方を考えるときには「創める」と書く方が、新しく切り拓いていくニュアンスがあってより適切のように思えます。
「新老人の会」のスローガン「創める」について日野原さんはその由来を次のように書かれています。
ぼくにとって「創めること」が大切なテーマになったのは、1970年、58歳のとき。乗っていた飛行機が赤軍派に乗っ取られたことがきっかけなんです。いわゆる「よど号ハイジャツク事件」です。
結局、ぼくらは韓国の金浦空港で降りることができたんだけど、地上に降り立ったときは「命が与えられた」とつくづく思いましたよ。この先の人生は与えられたものだと。
それからほどなくして、ユダヤ人の哲学者マルティン・ブーバーの「かくれた神」を読んだら、その中に「人は創めることを忘れなければ、いつまでも若く老いない」と書かれてあった。それでハッとしてね。
よど号の事件以来、人々のために、生きられる限り全力投球で生ききろう、という気持ちに変わった。それと同時に「創めること」がとても大切だと改めて思ったんです。
日野原さんのこの文章を読んで、これからは、はじめるは「創める」と書くことに決めました。
人間には、誰でも、未知のものが眠っている可能性があるはずですから‥‥。
(「言葉の力」PHP研究所より引用しました)