「競争の原理」
1987年(昭和62年)、当時でも“現代の硯学
(大学者)”といってもよい、堺屋太一、渡部昇一
のお2人が、対談集「競争の原理」を出版されて
います。
「競争の原理は、生命発展の不変の原理である」
との考え方を軸に、歴史・現代を縦横に語り合った
ものです。
「日本国内で見ると、問題になっているのは、
いわゆる4Kといわれるものです。
教育、国鉄、米、健康保険。この4つの共通点は、
競争を排除していることです。
本当は競争がないわけじゃない。だが少なくとも
当事者たちは競争がないと思ってきたんですね」
国鉄は、分割民営化による内部競争と私鉄との
競争の中で甦り、成功しました。
他の分野は、競争原理の導入が不十分だとの
理由だけではなく、改革は行われてきましたが、
成功しているとは言えません。
デフレの時代における規制緩和による競争原理の
導入が何をもたらしたかを考えると、“打出の小槌”
だとまでは言えません。
さりとて、競争の原理を排除した“棲み分けの原理”
がよいとも思えません。
“結果の平等”ではなく“機会の平等”を前提にして、
あるべきは“供給者の競争”で“消費者の競争”
ではありません。
難しい問題ですが、“供給者の競争”の重要性を
見直してもよいと考えます。