「思う」と「考える」の違い(その1)
日常的によく使われる、思うと考えるとは
どのように違うのでしょうか。
愛用している「新明解国語辞典」や国語辞典の
決定版ともいえる「広辞苑」で調べてみてもその
違いはよく分かりません。
現在の国語辞典は、その語の意味分類を
旨としており、用法上の問題や、関連する
他の語との対比の上で、意味の違いや発想の
違いを取り上げていないからです。
ではそのような用に役立つ辞典があるのでしょうか。
本屋で探していたらありました。
それは、「基礎日本語辞典」(角川学芸出版)です。
調べてみると――。
思うとは、判断、決心、推量、願望、想像、回想、
恋慕などの対象として、人・物・事柄などを取り上げ、
それについて心を働かせることです。
思うは、「故郷を思う」のように、その対象に対して
感情的に心を動かすことから、「少年時代のことを
思う」のような考えるに近い、知性を運用させる
行為まで幅があります。
しかし、思うは考えると違って、刹那的判断
ないしは、感性の没入で、それだけに対象把握は
単一的であって、物事を分析的に眺めとらえる
知的行為ではないのです。
もう少し、具体的な説明を紹介します。