「関係の空気」「場の空気」(その2) | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

「関係の空気」「場の空気」(その2)

 冷泉さんは、山本七平さんの「『空気』の研究」について次のように言っています。
 「すでに執筆されて30年が経過している。その内容はいまでも説得力を失ってはいない。いや、日本社会を理解する上で、いまでも必読図書のナンバーワンではないだろうか。
 山本が91年に壮絶なガン闘病の果てに倒れて以来十数年、この『空気』は、日本社会でますます猛威をふるっている。それどころか、日本社会を蝕(むしば)んでいると言ってもよい。山本の遺志を継いで、警鐘を鳴らし続ける人間もいない。」
 「関係の空気」と日本語に良い相性があるとするなら、「場の空気」の問題には日本語という言語はどんな影響を与えているのでしょうか。
 「空気を作り出すのは、多くの場合は省略表現、指示代名詞、略語、ニックネームなどの『暗号』である。暗号を使った会話には、暗号化と復元するために必要な、暗黙の共通理解がある。その共通理解が、『空気』として日本語のコミュニケーションの重要な要素となるのだ。
 1対1の関係とは違い、集団の中では『暗号が復元できた人間』と『できない人間』の間には決定的な溝ができてしまう。」
 つまり冷泉さんは、日本語の特質が「空気」の蔓延を許す大きな原因と考えており、「場の空気」が権力化して、その権力の暴走により、合理的な判断や利害調整を妨害し始めると説くのです。
 典型的な実例として小泉純一郎元首相を挙げています。