氾濫するマニフェスト | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

氾濫するマニフェスト

 日本の国政選挙にマニフェストが初登場したのは、平成15年秋の衆議院選挙です。
 春の統一地方選挙で、首長たちがマニフェストを掲げ当選してブームとなったのです。
 それに、目を付けた民主党が導入しました。
 年末には、「なんでだろ~」、「毒まんじゅう」と並んで「新語・流行語大賞」を受賞しています。
 マニフェストの本家は英国です。
 1835年の下院議員選挙で、保守党のロバート・ピール首相が地元選挙区のタムワースで行った演説を、全国紙が「タムワース・マニフェスト」として紹介したのが起源とされています。
 平成16年夏発行の「永田町『悪魔の辞典』」(伊藤惇夫著、文春新書)では、「イギリス直輸入の規格外商品。あるいはブランド好き人間向け、セールストーク」と揶揄(やゆ)されていました。
 直輸入以来6年、「初の本格的マニフェスト選挙」と言われるまでに“成長”してきました。
 もっとも、氾濫して、少々食傷気味と申し上げては言い過ぎでしょうか。
 「国民との契約」であるはずのマニフェストが「国民へのサービス」へ堕してしまっては本末転倒です。
 民主党は、平成17年の衆院選では、年金目的消費税(3%)の導入を掲げましたが、19年の参院選では消費税税率据え置きへと変更。
 年金消費税の導入は撤回しました。
 今回の看板政策、「子ども手当」の支給額も17年衆院選では月額1万6千円だったのに、19年参院選以降は2万6千円に増額されたのです。
 2~3年で変える必然的な状況変化による理由はありませんから、“ばらまきサービス”そのものです。
 民主党の“目眩まし”に騙されてはなりません。