10年度予算案決定(その3) | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

10年度予算案決定(その3)

 26日の紙面には、多くの識者のコメント、論考や新聞各社の署名入りの記事が掲載されています。
 全部に目を通し、最も印象に残ったのは、「生活よりも選挙優先」と題する、河原仁志・共同通信経済部長の特別評論です。
 要点を紹介します。
 「予算はその国の未来の姿だ。
 1960年12月、池田勇人内閣は所属倍増計画を閣議決定。中小企業や農業の近代化策を反映した予算を組み、高度成長の扉を開いた。
 それから半世紀。政権交代後の初めての予算案からは、この国の未来は見えてこない。
 迷走を重ねた予算編成作業が映し出したのは『生活第一』を掲げたマニフェスト政治のそこの浅さと、来年夏の参院選勝利を最優先する小沢一郎・民主党幹事長の強烈な支配力だ。
 『選挙のための政治』は目の前の『民意』に敏感になる反面、困難な問題を先送りしがちである。
 日本経済がバブル崩壊後長く停滞したのは、国の姿を再設計し困難を打開していく熱意が政治に欠けていたためだろう。
 その結果が慢性的なデフレであり、地域の疲弊、財政赤字、格差の広がりである。
 衆院選で有権者が民主党に託したものは、マニフェストの実行というよりも、閉塞状況を打ち破る政治的情熱だったのではないか。
 だとすれは“選挙仕様”の予算は『民意』をはき違えている。
 消費税率引き上げの封印も不可解だ。
 予算の無駄削減だけでは、この国の財政が絶て直せないことも、事業仕分けで分かった。
 国民を説得する条件は整っている、
 意を尽くし、困難に挑戦する姿を見せないと、民意より先に市場が反乱を起こすだろう。
 政権発足から100日が過ぎた。『国民の生活』よりも『選挙第一』が民主党の本年なら、この国の停滞はさらに続くことになる。」
 民主党だけでなく、政治家が心して受け止めるべき、格調ある正論であります。