「世論調査と政治」 | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

「世論調査と政治」

 世論や世論調査を考えていると、では世論調査を実施する側はどのように見ているか気にかかります。
 こうした疑問に応えてくれる格好の本が最近(11月20日発行)でました。
 「世論調査と政治」(著者 吉田貴文 講談社+α新書)です。
 著者は、朝日新聞で世論調査に携わっている現役のプロです。
 まず、世論調査は有権者の意見を示す「国民投票」として使い、民意とするという意味で民主政治を補完する機能があるといいます。
 大切な世論調査であるが、いささか行きすぎではないかという声が最近目立つと指摘しています。
 問題点の第1は、過ぎたるは及ばざるがごとしというべきか、政治が世論調査に左右されすぎてはいないかということです。
 第2の問題点は、政治が世論を気にするあまり、国民の耳に痛いことを言わなくなったことです。大衆迎合のポビュリズム政治に陥る危険が増しているのではないかというのです。
 つまり、世論調査結果によって政治家が右往左往する世論調査政治に堕しているのではと、実施する側も、“世論調査の怪物性”を心配しているのです。
 その上で、弊害を克服する三つの処方箋を示しています。
 ①世論調査が示す結果は、「世論」の一つの形だと認識すること。
 ②世論調査に頼りすぎてはいけないということ。
 ③とりわけ、有権者の側にいえることだが、正しい世論調査の読み方を身につけること。
 世論調査を“怪物”にしないためには、私達有権者の“自覚”が重要だということでしょう。