空回りの首相施政方針演説(その1) | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

空回りの首相施政方針演説(その1)

 鳩山首相初の施政方針演説は、約1万3600字、時間は歴代最長の51分でした。
 「いのちを守りたい。いのちを守りたいのです。」
 異例の文学的、情緒的な表現で始まり、理念重視、理念先行の演説です。
 発言がブレまくり、言葉が軽く“理念なき政治家”と揶揄されている鳩山首相ですから、その思いは理解します。
 理解はしますが、評価となると残念ながら合格点はつけられません。
 まず、第一に表現が分りにくいのです。
 全文を読まれる人は少ないと思います。
 最後まで読み通すには結構根気がいります。字数が多いからではありません。何を言わんとしているのか不明のところがあるからです。
 具体例で示します。
 「一人一人が地域という共同体、日本という国家、地球という生命体の一員として、より大きなものに貢献する、そんな『人格』を養う教育を目指すべきなのです。」
 「より大きなもの」とは何なのか。「そんな『人格』」とはどんな人格なのか。目指すべき教育の内容がさっぱり分りません。
 このような表現が随所にあります。
 ですから、読みづらいのです。
 国会での演説は国会議員だけではなく、国民に向けての演説でもありますから、平易に語りかけてほしいものです。
 ついでに言えば、教育については、鳩山首相が首相に就任した特別国会での「所信表明演説」でもひどいものでした。
 1万2900字中「教育」という言葉は4回のみでした。
 今回の施政方針演説も合わせて考えてみますと、教育に対する関心は驚くほど低いと判断せざるを得ません。