元旦の新聞を読んで | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

元旦の新聞を読んで

 元旦をホテルで迎えるのは初めてです。
 新年祝賀の儀に参列した後ホテルに戻り、元旦の新聞各紙にゆっくり目を通しました。
 さすがに元旦号です。各紙とも趣向を凝らし、それぞれに読みごたえがあります。
 特集で最も充実しているのは、「次の10年へ 未来を読む」という日本経済新聞の17頁にも及ぶ記事です。
 「経済、そして社会を元気にするのは私たち一人ひとりの意識と行動、地球規模の視野と生活に根ざした視点で現実をしっかり見据え、夢のある未来に歩んでいこう。」と呼びかけ、各分野のこれからの10年を展望しています。
 社説で注目したのは、「『ニッポン漂流』を回避しよう 今ある危機を乗り越えて」と題した読売新聞の論説です。
 「政治の迷走、経済の停滞が続く主な原因は、鳩山連立政権が日本の平和と繁栄、安心社会を維持するための、中長期の国家戦略を欠く上に、当面の針路すら国民に明示できないことにある。
 鳩山政権の機能不全は、大きく言えばキャスティングボート政治、マニフェスト至上主義、官僚排除にある。」と問題点を分析しています。
 その上で、「戦後日本の『軽武装・経済優先』路線を可能にした、日米同盟は日本の安全保障の生命線だ。
 一方で、中国と『戦略的互恵』関係の強化を進めるのは当然だ。」といわゆる「日・米・中正三角形の関係」を目指すべきではないと主張しています。
 「デフレ脱却には強力な指導力が不可欠だ。不況脱出のためには、昭和恐慌時の高橋是清蔵相、アメリカ大恐慌時のフランクリン・ルーズベルト大統領のように、強権発動も辞さず、の断固とした政治意思を示す必要がある。」
 そして、「社会保障の充実は、安全網の整備に加え景気対策の効果も期待できる。社会保障の財源として消費税率の引き上げは避けて通れない。
 地方が疲弊している時に、即効性が高い公共事業の活用も大切だ。」と積極的な提言をしています。
 最後に、「非常時には非常時なりの思考と行動が必要である。ローマ帝国滅亡を早めた『パンとサーカス』の大衆迎合的ばらまき、見せ物政治から一日も早く抜け出さなければならない。」と警鐘を鳴らすのです。
 傾聴に値する意見です。
 新聞には政局の事象を報道するだけでなく、深彫りした分析に基づく主張を是々非々の立場で展開して貰いたいと望んでいます。