「二院制」 | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

「二院制」

 「『良識の府』も今は昔。一院制プラスアルファー、あるいはマイナー・リーグ。」
(「悪魔の辞典」)
 二院制は議会政治の母国、イギリスで14世紀頃に成立したシステムです。
 現在二院制を採用している国は、議会がある183カ国のうち68カ国で全体の37%、サミット参加8カ国、つまり先進国はすべて二院制をとっています。
 もっともその実態は様々で、元祖イギリスは徐々に下院の権限が強化され、今や上院は下院を補完する第二院の地位に甘んじています。
 アメリカの場合は妥協の産物といわれます。
各州2名ずつの上院が各州の独自性や利害を代表し、州の人口に比例される下院は、合衆国全体を代表することを基本としています。
 日本の場合、現憲法のマッカーサー草案は一院制で、日本側の主張で二院制になりました。
 ①衆議院に対する抑制、均衡、補完、つまり「数の政治」に対する「理の政治」が必要
 ②「良識の府」として衆議院との異質性、独自性を保つ
 ③政党の枠を超えた政治活動が展開できる
 当時の日本側のこの主張は、理念としては誠に立派で、申し分のないものです。
 ところが、「参議院は衆議院のカーボン・コーピー」と揶揄(やゆ=からかう)される現状は国民周知のとおりです。
 はっきり言って、今のままの参議院ならなくても困らないのです。
(ない方がいいとまでは言いませんが‥‥)
 予算の衆議院先議、予算、条約、首相指名での衆議院優位の他は、ほとんど同格の扱いになっていることが、参議院の存在意義を軽くしてしまっているのは、何ともはや皮肉なことです。