「政治とカネ」 | 小田春人オフィシャルブログ「先人に学ぶ 産業と教育の復活」

「政治とカネ」

 「政治とカネ」と銘打った元首相の海部俊樹回顧録が最近、新潮新書として出版されています。
 さすがに早稲田大学雄弁会出身の演説の名手と謳われた政治家です。
 「政治家の回顧録は、都合のよいことだらけが常だが、私は本書に弱さも含めた正直な自分を綴っていく。世の中には『墓場まで持って行く話』というのがあるが、私は隠し立てすることなくありのままの出来事を書いていく。そうすることで、みなさんが今後の日本政治を考えるための一助になればと願うからだ。」
 まえがきの通り、口述をまとめられたのではと思われる読みやすい文章です。
 私が興味を持った所は、小沢一郎さんに関する論評です。
 「1995年12月、党首選の結果、小沢氏が新進党党首に指名された。
 ところがその頃から、小沢氏との確執で、党員たちが櫛の歯が抜けるように離党していった。彼の問答無用なやり方、会議に出ないこと、密室政治、人を呼び出す傲慢さ、反対派への報復人事などが原因だった。
 思えば、小沢氏ほど側近の出入りが激しい政治家もいない。
彼から人が離れていくのは、どれだけつきあっても実感や信頼感が得られないからだ。
 つまり小沢氏は誰にとっても心の通い路を作れない相手なのだ。」
 またこうも書かれています。
 「物事がまとまりかけると、自分の存在価値が低くなるから、つぶす。つぶすためには、横車でもなんでもゴリゴリ押して、荒れるなら荒れるでよろしい。何かがちょっと育ってくるとゴツン、少し芽が出始めるとゴツンと叩いてしまう『どうしようもない性癖』。」
 海部さんに限らず、多くの人の小沢一郎人物評に接すると、日本伝統の意味で人望人徳のある人物だとは思えません。
(政治家村だけに通用する人望人徳があったのでしょうか。)
 今や、“賞味期限”はおろか、“消費期限”も過ぎようとしている政治家が、この20年間、日本政治に影響を与えてきたのは、考えて見れば不思議なことでもあり不幸なことでもあったのかもしれません。