「シンジラレナイ!」この一言が試合後のセレモニーでヒルマン監督の最初の一言だった。日本ハムが27日のソフトバンクとのシーズン最終戦に4-1で勝ち、プレーオフへの1位通過を決めた!
待ちわびた瞬間がついに訪れる。九回一死一塁、最後の打者・本間は二ゴロ併殺打に打ち取り、試合終了。喜び合う選手と、総立ちの札幌ドームのファンの歓喜がドーム全体を包み込んだ。
試合後のセレモニーで、球団を日拓ホーム・フライヤーズから買収し、ファイターズをこよなく愛した、昨年4月に亡くなられた故・大社義規前オーナーの遺影がそこにあった。
試合後には優勝していないにも拘わらず、異例のビール掛けが行われた。優勝でもないのに何故?と思われるが、メジャーやNFLなどのプロスポーツの世界ではプレイオフ進出が決まると、シャンパン・ファイトが行われるのが通例で、これは憶測だがヒルマン監督のアイデアだったかもしれない。
やや選手は戸惑い気味な感じだったかもしれないが、それでもほぼビール掛け初体験が多い選手達は喜びを大爆発させていた。特に長年ファイターズを支え続けた、田中幸雄、小笠原らは感慨深げだったに違いない。今度はリーグ優勝で再びビール掛けを目指す。
試合後は今季限りでの引退を表明している新庄剛志の引退セレモニーが行われ、普段は笑顔を絶やさない新庄が、この瞬間だけには涙が止まらなず札幌のファンに感謝のメッセージを送った。
阪神入団当時の背番号「63」とSHINJOから新庄剛志と選手登録を行い、最後の「新庄サプライズ」で自身のシーズン最終戦を迎えた。照明を落としドームのカラービジョンで、新庄のこれまでの歴史を振り返るビデオが流された。新庄は仕事場でもある、センター付近のグラウンドで溢れてくる涙を必死で堪えながら画面を眺めていた。
北海道のファンが「やめないで!」の映像や、新庄が特にちびっこファンをいかに大事にするかを考えてただけに、ちびっこファンの映像が流れると、更に歯をくいしばり涙を堪えていた。
そして、17年間使い続けたグラブ、トレードマークの赤いリストバンド、最後にユニホームをそっとグラウンドに置き「63」の背番号にはポンポンと手を叩き最後の別れを告げた。ユニフォームを脱いだTシャツのバックプリントには、出身地の博多弁で「今日、この日、この瞬間も心のアルバムに刻んで、これからもオレらしくいくばいっ!」で書かれていた。
ドームのスクリーンには「残りわずかな野球人生、明るく楽しく、白球を追うことを、今日、この日、みんなに約束します。新庄剛志」 と映し出され、プレイオフなどの数少ない試合を全力でプレイすることを誓った。
記録よりも記憶に残った選手。色々な「新庄サプライズ」には批判の声も少なくはなかった。しかし、離れ掛けた野球ファンを振り向かせた功績は大きい。プレイでも、守備で観客を魅了するのは新庄だけだっただろう。打撃も、楽天の野村監督がいう「きっちりとした指導者がいれば、まだまだ伸びた選手」とその非凡な才能を認めていた。
パリーグの頂点まであと2勝。新庄の本当のラストプレイはこれからだ。とりあえずだが、お疲れ様、そして、ありがとう新庄!
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