「すべてのために一瞬、一瞬のためにすべて」
山であれ、海であれ、釣りの準備には何日も前からとりかかる。ときには何週間も以前からとりかかる。しばし一生夢想だけで終わることもある。男は夢を食べて育ち、夢を反芻しながら目を閉じる。
そうやって山や海に出かける。釣れるときもある。釣れないときもある。山の冷雨が背骨にしみこみ、海面の照り返しが全身を焼く、かかったときに喜びと不安は一瞬にある。最初の一匹の最初の一撃にある。この一瞬のために千夜と一夜の待機があったのだ。 釣れた魚が大きいか、小さいか、型がいいか、わるいか。寄生虫はついているか、いないか。よくたたかったか、どうか。そういう鑑賞や、評価は、この一瞬のずっとあとになって、頭と心と体にいろいろなものがもどってきてからのことである。
恋・野心・闘争・放浪・友情・酒、そして死などと同じように、釣りにもまた最良、最高、最善は一瞬にある。 【2022年3月1日 解禁】
清め 天と地と川に感謝を込めて
今年一年の安全を祈念します。
納得の1匹


















