「過剰適応」傾向の方に役に立つ、心理学的な考え方や用語を紹介します。
【偽りの自己】false self
ウィニコット(Winnicott, D.W.)によって用いられた概念で、「真実の(本当の)自己」を隠蔽し、保護する、防衛的な機能を持った構造を言います。
「過剰適応」も一つの防衛的な機能と言ってよいでしょう。
母親の不適切な養育や、外界からの何らかの侵襲によって、「抱える環境(holding environment)」が破綻した場合、幼児は環境に服従せざるを得なくなり、「偽りの自己」を発達させると考えられています。
その程度はさまざまで、誰もが持っているような社交的な態度に示される健康な場合から、「真実の自己」がすっかり隠蔽された極端な場合まである、とされます。
【真実の自己】(true self)
ウィニコット(Winnicotto,D.W.)によって用いられた概念で、外界の刺激に反応して生じるのではなく、生まれたばかりの幼児にもすでに存在し、「自己の中核」となるべきもののことを言います。
それは、幼児の自発的な身振りに表現されますが、その表現に適切に応じることができる「ほどよい母親」によって幼児が万能感を満たされると、自我に強さが与えられ、環境への信頼が生まれ、「真実の自己」は生きたものとして発達する、と考えられています。
逆に、何らかの理由で、そうした適切な養育が得られず、「抱える環境(holding environment)」が破綻した場合、真実の自己を隠蔽、防衛するために「偽りの自己」が形成される、と考えられます。
「偽りの自己」が非実在感や空虚感を伴うのに対して、「真実の自己」は自発性を有していて創造的であり、実在感、現実感を持つことができる、とされます。
※引用文献:『カウンセリング辞典』(ミネルヴァ書房 氏原寛ら編)