スタバレ二次創作

ソラリオンクロニクル
~黒夢の魔王城~

👉️プリンセスは、他の女性がよかった。



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アレックス「そうだよな!サム~!お前はペニーがプリンセスだったら、もっとやる気が出たんじゃないか?」

 

サム「……まぁ、似合いそうだよな。」

 

アレックス「アビゲイルがプリンセスで、嬉しい男もいるだろうがな。」

 

セバスチャン「………………………そろそろ出発しないか?」

 

立ち上がるセバスチャンの後を追い、図書館を後にする冒険者一行。

 

 

 

 

扉が締まり、誰も居なくなると、アビゲイルの肖像画に亀裂が走った。

 

 

 

 

本棚から、黒い本が浮遊し、魔力が渦巻いた。

 

 

 

 

 

 

 

魔王城の冒険は熾烈を極めた。

罠とモンスターの数が増える。

落とし穴、天上から落ちてくるギロチン刃。

スケルトン、ゾンビ、吸血コウモリ…

 

試練を乗り越え、一行は、巨大な扉にたどり着いた。地獄の門のように、おどろおどろしい彫刻がほどこされている。

 

サム「ボス部屋ってやつかな。扉に罠も鍵もない。」

 

ユウ「みんな、準備はいい?」

 

一同はうなずき、地獄の扉を開いた。

 

室内は一切の光りがなく、暗闇で何も見えない。

 

サムが、先導し、部屋に踏み入れる。

 

すると、青白い炎の照明が燃え上がる。

 

奥に魔方陣が怪しく光り、そこにはマントを羽織った人物が、こちらに背を向けて立っていた。

 

「つむがれよ、天と地の間に…」

 

紫の髪のその人物は、振り替える。

 

「この大地の命と引き換えに…………」

 

一同があっと息を飲む。

 

そこには、冷たい瞳をしたアビゲイルが立っていた。

 

ユウ「アビゲイル!どうしてここに?王宮に帰ったんじゃないの?」

 

アビゲイル「こうでもしなきゃ、私、参加できないじゃない。」

 

ユウ「なんのこと?」

 

アビゲイル「私がラスボス、魔王ってこと。さぁ遊びましょう。」

 

アビゲイルが、人差し指で宙に魔方陣を描く。

 

アビゲイル「ヘルガイザー」

 

 

 

アビゲイルが指を指すと、天井から光が降り注ぎ、悪霊達が暴れ、四散した。

 

サム「痛ってぇ~~~ッ!」

 

アレックス「結構ダメージでかいぞ……!」

 

ユウ「呪いのデバフがかかってる…!こんな魔法知らないよ。」

 

苦痛に顔を歪ませ、セバスチャンが魔法を放つ。

 

セバスチャン「ファイアーストーム!」

 

炎の竜巻がアビゲイルを襲う。

 

アビゲイル「そうこなくっちゃ。バリアチェンジ・ウォーター」

 

アレックス「なんだあの魔法?!聞いたことないぞ!」

 

ユウ「我らに識別する力を与えよ!ラテュマピック!」

 

セバスチャン「水属性以外で回復?なんだそれ特殊すぎる。マジで………ボス戦なのか?!」

 

アビゲイル「そうだって言ってるじゃない!」

 

剣でアレックスと切り結ぶアビゲイル。

 

サム「なななんでアビゲイルが、魔王なんだ!?」

 

ユウ「サム!バトルソングで、呪いのデバフ解除をお願い!」

 

愛用のギターをかき鳴らすが、戸惑いが隠せない。

 

セバスチャン「ウォーターランス!」

 

アビゲイル「さすがセブ。ちゃんと対応してくる。バリアチェンジ・サンダー」

 

ユウ「ウォーターアロー!……あっ!」

 

一瞬だけアビゲイルの属性変化魔法が早かった。雷以外の属性攻撃は、アビゲイルを回復させてしまう。

 

アレックス「どういことだ!アビゲイル!?」

 

 

 

アビゲイル「プリンセスなんかつまんないから、魔王になって、あんた達をボコってやろうってことよ。後悔させてやるわ……」

 

 

 

単純な素人の力をまかせの殴打戦だった。もともと重装備で動きの遅いアレックスは、アビゲイルが敵であることに、戸惑い、攻撃にためらいがある。防戦一方である。

 

セバスチャン「ライトニングボルト!」

 

アビゲイル「的確に攻撃してきて、腹が立つ……!」

 

大きく跳躍して後ろに下がる。バリアをといて、呪文を詠唱しはじめた。

 

アレックス「止めろ!でかい魔法攻撃がくるぞ!」

 

サム「ごめん!アビゲイル!」

 

駆け寄るアレックス。サムはナイフを投げる。

 

アビゲイル「サム、優しすぎるんじゃない?」

 

アビゲイルはナイフを剣で落とし、アレックスの一撃を剣で受けきる。詠唱は止まらない。

 

セバスチャン「メテオストライク!」

 

 

 

アビゲイル「セブ!あんたまで…………」

 

 

 

ユウ「みんなバリアの中に!アレックス早く!バリアドーム!」

 

アビゲイルの詠唱が終わる。

 

アビゲイル「ダークマター」

 

アビゲイルの周りに水銀色の球体が四つ浮かび、巨大な三角錐が回転し、その中には星空が広がっていた。

 

ユウ「なにこれぇ!??」

 

四方八方に引っ張られ、圧をかけられ、強烈な吐き気とめまいと肉体の痛み、冒険者一同は、ある者のは膝をつき、ある者は倒れこんだ。

 

 

 

 

アビゲイル「冒険、楽しい?」

 

冒険者を見下ろし、魔王が声をかける。

血の気の抜けた、白い顔だった。

 

ユウ「アビゲイル、どうして魔王に………?」

 

アビゲイルは、ニタリと笑みを浮かべたが、目元は笑っていなかった。

 

アビゲイル「あんたには、関係ないでしょ。」

 

アビゲイルが握りしめた剣は、床に伏したユウを深々貫き、とどめを刺した。

 

 

 

 

 

 

 

夜の墓地、墓石の前で、女が泣きじゃくっていた。

 

町を渦巻く魔力の流れでわかる。

 

こやつだ。

こやつが、元凶である。

 

「娘よ、これはいったいどういうことか、説明をせよ。」

 

我輩の言葉に、紫の髪の娘は顔をあげた。

 

「あなたは、町外れの魔術師………!?

 

私、この本を見つけて、魔方陣を描いて、魔法を使ってみたの………!

 

いつの間にか寝ちゃってた。悪夢を見て、目を覚まして……気づいたら夕方で………!

 

町のみんなが眠ってるの………!起こしても、絶対起きないし………!

 

なにか、なにか、町の様子が変なの…………!」

 

我輩は娘から、本を受け取った。

 

『夜の眠りの恐怖の闇』というタイトル。

 

本に書かれたサインも、こめられた魔力も、この谷に住まう邪悪なる魔女………我輩と離縁した元妻のものであった。

 

本に手を当て、目をつぶる。

書籍の記憶を読み取った。

 

この町の隅に住まう邪悪なる魔女は、邪神信仰により精神は汚染され、この世の全てを憎んだ。

 

この哀れなる娘に目をつけ、この娘が、書籍の魔方陣を発動させるよう、誘導したのだ。

 

谷の大地にたくわえられた豊かな魔力と、この娘の命を糧に、眠りの呪いは、谷を包んだ。

 

谷の住民は、呪いにかかり、眠る。

日没以降は、一生、悪夢を見続けるという陰惨な呪いだ。なんと悪趣味なことか…………。

 

「娘よ。我輩は、この本を読み解き、谷にかかった眠りの呪いを解くよう、研究をすすめる。

 

この書籍により、魔物達が活性化しておる。間もなく、町にも魔物が闊歩するであろう。

 

娘よ。貴様は、家を厳重に閉じて、身を守り、待て。

 

夜に眠れば、お前も、悪夢から抜け出せなくなるから、日が出ている間に眠りなさい。

 

研究に進捗が出れば、我輩はお前の家に訪れる。

 

それまで、辛抱強く待ち続けなさい。

 

それでは、我輩は行く。さらばだ。」

 

「待って!!!!」

 

魔術師はテレポートの魔法で、姿を消してしまった。

 

「ひとりにしないで……………」

 

アビゲイルは、墓石の前にうずくまり、泣きじゃくった。

 

夜に浮かぶ満月に、次第に魔女の顔が浮かぶ。

満月に浮かぶ魔女は、眼下の景色を見てニタリと笑う。

愉快愉快と、甲高い声で笑い続けるのであった。

 

 

 

 

Bad end : 魔女の嗤い

 

 

 

 

 

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※エンディングは全5種類


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