スタバレ二次創作
ソラリオンクロニクル
~黒夢の魔王城~
👉️プリンセスは、他の女性がよかった。
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アレックス「そうだよな!サム~!お前はペニーがプリンセスだったら、もっとやる気が出たんじゃないか?」
サム「……まぁ、似合いそうだよな。」
アレックス「アビゲイルがプリンセスで、嬉しい男もいるだろうがな。」
セバスチャン「………………………そろそろ出発しないか?」
立ち上がるセバスチャンの後を追い、図書館を後にする冒険者一行。
扉が締まり、誰も居なくなると、アビゲイルの肖像画に亀裂が走った。
本棚から、黒い本が浮遊し、魔力が渦巻いた。
*
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魔王城の冒険は熾烈を極めた。
罠とモンスターの数が増える。
落とし穴、天上から落ちてくるギロチン刃。
スケルトン、ゾンビ、吸血コウモリ…
試練を乗り越え、一行は、巨大な扉にたどり着いた。地獄の門のように、おどろおどろしい彫刻がほどこされている。
サム「ボス部屋ってやつかな。扉に罠も鍵もない。」
ユウ「みんな、準備はいい?」
一同はうなずき、地獄の扉を開いた。
室内は一切の光りがなく、暗闇で何も見えない。
サムが、先導し、部屋に踏み入れる。
すると、青白い炎の照明が燃え上がる。
奥に魔方陣が怪しく光り、そこにはマントを羽織った人物が、こちらに背を向けて立っていた。
「つむがれよ、天と地の間に…」
紫の髪のその人物は、振り替える。
「この大地の命と引き換えに…………」
一同があっと息を飲む。
そこには、冷たい瞳をしたアビゲイルが立っていた。
ユウ「アビゲイル!どうしてここに?王宮に帰ったんじゃないの?」
アビゲイル「こうでもしなきゃ、私、参加できないじゃない。」
ユウ「なんのこと?」
アビゲイル「私がラスボス、魔王ってこと。さぁ遊びましょう。」
アビゲイルが、人差し指で宙に魔方陣を描く。
アビゲイル「ヘルガイザー」
アビゲイルが指を指すと、天井から光が降り注ぎ、悪霊達が暴れ、四散した。
サム「痛ってぇ~~~ッ!」
アレックス「結構ダメージでかいぞ……!」
ユウ「呪いのデバフがかかってる…!こんな魔法知らないよ。」
苦痛に顔を歪ませ、セバスチャンが魔法を放つ。
セバスチャン「ファイアーストーム!」
炎の竜巻がアビゲイルを襲う。
アビゲイル「そうこなくっちゃ。バリアチェンジ・ウォーター」
アレックス「なんだあの魔法?!聞いたことないぞ!」
ユウ「我らに識別する力を与えよ!ラテュマピック!」
セバスチャン「水属性以外で回復?なんだそれ特殊すぎる。マジで………ボス戦なのか?!」
アビゲイル「そうだって言ってるじゃない!」
剣でアレックスと切り結ぶアビゲイル。
サム「なななんでアビゲイルが、魔王なんだ!?」
ユウ「サム!バトルソングで、呪いのデバフ解除をお願い!」
愛用のギターをかき鳴らすが、戸惑いが隠せない。
セバスチャン「ウォーターランス!」
アビゲイル「さすがセブ。ちゃんと対応してくる。バリアチェンジ・サンダー」
ユウ「ウォーターアロー!……あっ!」
一瞬だけアビゲイルの属性変化魔法が早かった。雷以外の属性攻撃は、アビゲイルを回復させてしまう。
アレックス「どういことだ!アビゲイル!?」
アビゲイル「プリンセスなんかつまんないから、魔王になって、あんた達をボコってやろうってことよ。後悔させてやるわ……」
単純な素人の力をまかせの殴打戦だった。もともと重装備で動きの遅いアレックスは、アビゲイルが敵であることに、戸惑い、攻撃にためらいがある。防戦一方である。
セバスチャン「ライトニングボルト!」
アビゲイル「的確に攻撃してきて、腹が立つ……!」
大きく跳躍して後ろに下がる。バリアをといて、呪文を詠唱しはじめた。
アレックス「止めろ!でかい魔法攻撃がくるぞ!」
サム「ごめん!アビゲイル!」
駆け寄るアレックス。サムはナイフを投げる。
アビゲイル「サム、優しすぎるんじゃない?」
アビゲイルはナイフを剣で落とし、アレックスの一撃を剣で受けきる。詠唱は止まらない。
セバスチャン「メテオストライク!」
アビゲイル「セブ!あんたまで…………」
ユウ「みんなバリアの中に!アレックス早く!バリアドーム!」
アビゲイルの詠唱が終わる。
アビゲイル「ダークマター」
アビゲイルの周りに水銀色の球体が四つ浮かび、巨大な三角錐が回転し、その中には星空が広がっていた。
ユウ「なにこれぇ!??」
四方八方に引っ張られ、圧をかけられ、強烈な吐き気とめまいと肉体の痛み、冒険者一同は、ある者のは膝をつき、ある者は倒れこんだ。
アビゲイル「冒険、楽しい?」
冒険者を見下ろし、魔王が声をかける。
血の気の抜けた、白い顔だった。
ユウ「アビゲイル、どうして魔王に………?」
アビゲイルは、ニタリと笑みを浮かべたが、目元は笑っていなかった。
アビゲイル「あんたには、関係ないでしょ。」
アビゲイルが握りしめた剣は、床に伏したユウを深々貫き、とどめを刺した。
*
*
*
夜の墓地、墓石の前で、女が泣きじゃくっていた。
町を渦巻く魔力の流れでわかる。
こやつだ。
こやつが、元凶である。
「娘よ、これはいったいどういうことか、説明をせよ。」
我輩の言葉に、紫の髪の娘は顔をあげた。
「あなたは、町外れの魔術師………!?
私、この本を見つけて、魔方陣を描いて、魔法を使ってみたの………!
いつの間にか寝ちゃってた。悪夢を見て、目を覚まして……気づいたら夕方で………!
町のみんなが眠ってるの………!起こしても、絶対起きないし………!
なにか、なにか、町の様子が変なの…………!」
我輩は娘から、本を受け取った。
『夜の眠りの恐怖の闇』というタイトル。
本に書かれたサインも、こめられた魔力も、この谷に住まう邪悪なる魔女………我輩と離縁した元妻のものであった。
本に手を当て、目をつぶる。
書籍の記憶を読み取った。
この町の隅に住まう邪悪なる魔女は、邪神信仰により精神は汚染され、この世の全てを憎んだ。
この哀れなる娘に目をつけ、この娘が、書籍の魔方陣を発動させるよう、誘導したのだ。
谷の大地にたくわえられた豊かな魔力と、この娘の命を糧に、眠りの呪いは、谷を包んだ。
谷の住民は、呪いにかかり、眠る。
日没以降は、一生、悪夢を見続けるという陰惨な呪いだ。なんと悪趣味なことか…………。
「娘よ。我輩は、この本を読み解き、谷にかかった眠りの呪いを解くよう、研究をすすめる。
この書籍により、魔物達が活性化しておる。間もなく、町にも魔物が闊歩するであろう。
娘よ。貴様は、家を厳重に閉じて、身を守り、待て。
夜に眠れば、お前も、悪夢から抜け出せなくなるから、日が出ている間に眠りなさい。
研究に進捗が出れば、我輩はお前の家に訪れる。
それまで、辛抱強く待ち続けなさい。
それでは、我輩は行く。さらばだ。」
「待って!!!!」
魔術師はテレポートの魔法で、姿を消してしまった。
「ひとりにしないで……………」
アビゲイルは、墓石の前にうずくまり、泣きじゃくった。
夜に浮かぶ満月に、次第に魔女の顔が浮かぶ。
満月に浮かぶ魔女は、眼下の景色を見てニタリと笑う。
愉快愉快と、甲高い声で笑い続けるのであった。
Bad end : 魔女の嗤い
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