スタバレ二次創作

ソラリオンクロニクル
~黒夢の魔王城~

👉️魔王城を進む。

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吹き抜けの大階段を上り、城を進み、一行は巨大な扉の前にたどり着いた。地獄の門のように、おどろおどろしい彫刻がほどこされている。

 

サム「ボス部屋ってやつかな。扉に罠も鍵もない。」

 

 

ユウ「アビゲイル、薬草をいくつか渡しておくね。無理はしないで。みんな、準備はいい?」

 

 

一同はうなずき、地獄の扉を開いた。

 

室内は一切の光りがなく、暗闇で何も見えない。

 

サムが、先導し、部屋に踏み入れる。

 

すると、青白い炎の照明が燃え上がる。

 

奥に魔方陣が怪しく光り、そこにはマントを羽織った男が、こちらに背を向けて立っていた。

 

「くくく………臆することなく、よくここまでたどり着けましたね。」

 

マントをひるがえし、魔王が振り向く。

 

メガネをかけた中肉中背の男、モーリスが不適な笑顔で笑っていた。

 

アビゲイル「モーリス!あなた、なぜここに!?」

 

モーリス「ふふふ……スターデューバレーのラスボスと言えば、この私………!他に誰がいるというのでしょう。ねぇ、我が手下よ。」

 

「くくく………その通りだな。」

 

物陰から、腹の出た中年男が歩み出す。

 

ビール缶を片手に、いつもの服装にマントを羽織っただけのシェーンがあらわれた。

 

ユウ「シェーン……!魔王の手下なのか!?」

 

モーリス「ふっふっふ…………Jojaマートが町から無くなったら、困る人がいる。ただ、それだけの事です。」

 

シェーン「そうだ……Jojaマートがなくなったら、俺は誰から給料をもらえばいいんだぁ」

 

モーリスのメガネが怪しくひかり、シェーンはゆらゆらとにじりよる。

 

シェーン「20代の幼なじみ男女がキャッキャウフフと、はしゃぎやがって妬ましいぃぃ………ッ!さびれた町なんだ。少しは自重しろぉぉぉ………ポッコリお腹がチャームポイントの、低所得アラフォーおじさんのこの俺が、おまいらクソガキの未来を絶望色に染め上げてやるぜぇぇぇ」

 

モーリスはマントを大きく広げ、背後の大窓に雷鳴がとどろく。

 

モーリス「いま!まさに最終決戦!さぁ!回復してあげましょう!全力で来なさいッ!」

 

モーリスの魔法により、ユウ達冒険者一行のHPとMPが全回復した!

 

ユウ「ラスボスのクセになんて紳士的なヤツなんだ!やりづらい!!サム!音楽で支援を!」

 

サム「まかせろり!!!」

 

サムがエレキギターをかき鳴らそうとしたその瞬間…!

 

シェーン「さぁせぇるぅかぁ~~~………」

 

大きく息を吸い込んだシェーンが、言葉と共に息を吐き出す。緑の重い空気が冒険者一行にまとわりつく!

 

アレックス「うぐぅッ!」

 

ユウ「こ、これは!」

 

セバスチャン「……くさい息……!!(全体攻撃)」

 

サム「うぐぅッ!こんな臭かったら歌えねぇ……ッ!」

 

鼻や口もとをおおう冒険者達。

 

シェーン「サムぅ……お前は俺に似ている……こちらに来い………魔王側につけ……その方がお前は幸せになれる………くくくっ……」

 

サム「俺とお前が似てるだと……!?冗談言うなよ!誰が魔王側なんかにつくかっての!!!」

 

シェーン「キサマの、だぁいすきなJojaコーラと、冷凍ピザが、なんと社員割引で、安ぅく買えるのだぁぁぁぁぁ……………」

 

サム「…………なん………だと…………ッ!?!?」

 

モーリス「もし今、私の配下になるならば、JojaマートにあるJojaコーラの、在庫の半分をあなたに差し上げましょう。」

 

サムは力なく床に膝まずいた。

 

サム「Jojaマートの在庫の半分のJojaコーラ…………!?それは一体何本あるんだ………!?いやもはや本数じゃない、ダースだ!何ダースのJojaコーラが俺を待ってるんだ……………!?!?」

 

シェーン「そうだサムぅ……食べたい時に食べたいだけピザを喰い、コーラを一気飲みする堕落の悦びを、お前はまだ知らぬのだよ…………ククク…………弊社、ピザにも様々なフレーバーを取り揃えておりますぅ。調味料を組み合わせれば、可能性は無限大。君だけの最強ピザを編み出して、ハッシュタグをつけてSNSに投稿するのだぁぁぁぁぁ」

 

サム「お、お、おれだけの最強ピザ………?!うぅぅッ!ベースはメープルシロップで、シナモンを振りかけて………ゴホッ!…………」

 

セバスチャン「しっかりしろ、サム。腐った大人に負けてるんじゃない。」

 

サムをかばうように立ち、杖を構えるセバスチャン。

 

シェーン「あぁぁん??お前は腐った大人に負けないっていうのかぁぁぁぁ??」

 

セバスチャン「当たり前だ。蛇の道は蛇。闇に生きる俺は、サムほど純粋でも単純でもないぞ。」

 

(アビゲイル「ちょっとあいつら……ノリノリじゃない?」)

 

(ユウ「まぁ没入感マシマシのファンタジーゲームじゃ、中二病も抑えられなくなるよ」)

 

モーリス「闇の魔術師セバスチャン!!そんなあなたには、こちらです!!」

 

マントを大きく広げ、たくさんの紙を空中にばらまいた!!!

 

モーリス「期間限定!!Jojaマート50%OFFクーポン付きチラシ!!!

セバスチャン!!あなたの態度次第では、ソラリオンクロニクルを初めとした、当店の様々なゲームの品揃えを充実させる用意がこちらにはあります……!!最新カードゲームも、これで買い放題ですねぇぇぇぇ!?!?」

 

セバスチャン「ぐっ!ぐはぁぁっ…………!?!?」

 

吐血しながら、膝を屈するセバスチャン。

瞳の焦点が合わない。

 

セバスチャン「ソラリオンのシナリオコンテンツ…………!課金アイテム、レアアイテム………ッ!?………ぐふっ……!………MTGのカードパックを買い占めたら、レ、レアカードの出現確率が…………あ、ああ"ぁッ!……………」

 

後ろで崩れ落ちるアレックス。

 

アレックス「………50%OFF…………!!!期間限定とは言え、プロテインを買い占めたとしたら、オレのカラダは一体どうなってしまうというんだ………!!タマゴも安く大量購入ッ………!!牛肉………!まさか牛肉も食い放題だというのか…………!?なんてこった、ばぁちゃん…………ッ…………!!」

 

ユウ「あいつらの精神攻撃強すぎじゃねぇ?!?!」

 

アビゲイル「いい加減にしなさいよ!」

 

キャットガールの装備でステータスが跳ね上がったアビゲイル。一気に飛び出し、シェーンに斬りかかる。

 

魔王の手下となったシェーンの指の爪は、獣のように鋭く鉄のように硬い。

 

アビゲイルの斬激を爪で切り結ぶ。

身軽に跳び、避け、蹴りも交えながら戦うアビゲイル。シェーンは、避けはしないものの、的確に受け、ダメージがまるで通らない。

 

アビゲイルの上段から振り下ろした渾身の太刀を、鷲掴みするシェーン。

 

シェーン「クククッ…アビゲイル!俺はこの瞬間を!お前と戦うこの時を!待っていたのだぁッ!」

 

アビゲイル「なんですって!?」

 

シェーン「猫耳女剣士……悪くないぞぉぉぉ…!戦闘だものアクシデントはつきものぉ………小娘をくみふして、うっかり、あぁんなことや、こぉんなことになってしまったとしても、それは、しょうがないよなぁぁアビゲイルゥゥ??」

 

シェーンはいやらしく舌をレロレロと高速運動させる。

 

アビゲイル「ヒッ!ヒィィィィィィィッ!!?」

 

間近で見てしまい、あまりのおぞまさに全身に鳥肌が立つ。シェーンから一気に距離をとるアビゲイル。

 

アビゲイル「こんの下道ども!!!中年のおっさんが!キモいのよ!!!」

 

シェーン「ぐっ………!」

 

ユウ「あれは……!自分のことをオジサンって言うのはいいんだけど、若い女の子に、マジでオッサンって面と向かって悪態をつかれるのは、さすがに傷つく陰キャアラフォーオジサン……!?効いてる!アビゲイル!続けて!!」

 

アビゲイル「発想が痴漢じゃない!!警察呼ぶわよ!!」

 

シェーン「警察はやめてマジでお願い」

 

アビゲイル「マーニーやジャスに、セクハラされたって、ぜーんぶ言いつけてやるんだから!!」

 

シェーン「それだけはやめて家に居場所が無くなっちゃうぅ~~~!!」

 

シェーンはムンクの叫びのように顔を青ざめ、存在が揺らぎ、次第に消え去ってしまった。

 

ユウ「シェーンを倒した………!」

 

アビゲイル「最後はあんたよ、モーリス……ッ!」

 

にらみつけ、ジリジリと歩みよるアビゲイル。ひるむモーリス。

 

アビゲイル「私はあんたの弱点、知ってるんだから……!」

 

モーリス「わ、私の弱点ですって……!?なんのことです!?」

 

アビゲイル「あんたはねぇ………!」

 

大きく剣を振りかぶる。

 

アビゲイル「物理攻撃でボコせば勝てるのよッ!」

 

モーリス「暴力反対ぃ~~~ッ!」

 

ユウは、フルスイングするアビゲイルの姿に、ピエールの面影を見たのだった。

 

 

 



ロビン「セブ、開けるわよー。ちょっとあんた達!まだ昼間だっていうのに、こんなのお酒飲んで酔いつぶれて、なにやってるのよ!」

 

ユウ「あれ……ロビンさん??」

 

セバスチャン「…………??」

 

サム「…………ラムコークしか勝たんのよぉ……」

 

ロビン「アビゲイルが遊びに来たわよ。」

 

冒険の夢から覚めたのか。

 

セバスチャンの部屋には、酒ビンだの、ソフトドリンクだの、スナックだの、カードゲームなどが散乱していた。

 

ユウは机に突っ伏していて、セバスチャンはベッドに倒れ、サムは酒ビンを抱いてパンツ一枚で床に寝ていた。

 

アビゲイル「あーぁー、だらしないわねぇ。」

 

酒カスどもは、部屋にやってきたアビゲイルを見る。

 

アビゲイル「私が来てあげたわよ!遊ぶんだったら、私も仲間に入れてよね!」

 

あぁぁ………よし、酒はもう今日はやめて、健全にソラリオンクロニクルをはじめようか。

 

太陽も高く、若者たちの休日は、まだまだ終わらないのだった。

 

 

 

 

Happy end!アビゲイルの大冒険!

 

 

 

 

 

 

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※エンディングは全5種類

※あとがきへ(全エンディングを見てからを推奨)

https://ameblo.jp/october-rabbit-1010/entry-12858489643.html

 

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