※注意※

このお話はゲーム「スタデュバレー(switch版)」の二次創作です。「ラム酒」などゲームには出てこない単語・情報が出てきます。ご注意ください。全16話にっこり



↓第1話はこちら↓


https://ameblo.jp/october-rabbit-1010/entry-12788728185.html 





*******************************************
第11話_人魚のペンダントの伝承
*******************************************

あたたかい春雨が注ぐ朝、海辺の岩場に向かった。

遠い昔、若かりし頃を過ごした、秘密の場所

いつも美しい人魚が座っていた、奥の岩場。

のぞきこむ。

そこに、彼女は、、居た。

人魚が、海を眺めて座っていた。

彼女もまた、年老いていた。






二人とも、雨に降られて、ずぶ濡れだった。



再会の喜び、驚き、心配、苦悩。

老人は、すべてを話した。




「…また再会できて、嬉しいわ。」

人魚は、老人を優しく抱き締めた。


「…このペンダント、お前に返す。」

小箱から、薄汚い布で包まれたペンダントを、大切に取り出して、年老いた男は、ぐいっと、人魚にペンダントを突き出した。



老いた人魚は、その手をあたたかく握った。


「…あなたが持っていて。」

「…なぜ。」

「…お願いがあるの。

私、今世が無理なら、来世で彼と結ばれようって、ずっと想っていたの。

来世では、きっと、私、人間に生まれ変わるわ。

彼とまた出会って、恋をして、そして、きっと、この土地で、この海辺で一緒に暮らすわ。

私、そうするって決めたの。

でも、生まれ変わったら、全てを忘れてしまうでしょう。

だから、あなたが私を見つけて。

そして、その時に、ペンダントを返してちょうだい。

また一緒に暮らそうって、私、彼に贈るわ…。」

「生まれ代わりなんて、わかるわけないだろう…。」

「きっとあなたなら、見つけてくれる。」

「さぁ…どうだろうな…。」

疲れた船乗りの手を、人魚の手は、いつまでも包みこんでいた。


*******************************************



つづく