※注意※
このお話はゲーム「スタデュバレー(switch版)」の二次創作です。「ラム酒」などゲームには出てこない単語・情報が出てきます。ご注意ください。全16話

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第11話_人魚のペンダントの伝承
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あたたかい春雨が注ぐ朝、海辺の岩場に向かった。
遠い昔、若かりし頃を過ごした、秘密の場所
いつも美しい人魚が座っていた、奥の岩場。
のぞきこむ。
そこに、彼女は、、居た。
人魚が、海を眺めて座っていた。
彼女もまた、年老いていた。
二人とも、雨に降られて、ずぶ濡れだった。
再会の喜び、驚き、心配、苦悩。
老人は、すべてを話した。
「…また再会できて、嬉しいわ。」
人魚は、老人を優しく抱き締めた。
「…このペンダント、お前に返す。」
小箱から、薄汚い布で包まれたペンダントを、大切に取り出して、年老いた男は、ぐいっと、人魚にペンダントを突き出した。
老いた人魚は、その手をあたたかく握った。
「…あなたが持っていて。」
「…なぜ。」
「…お願いがあるの。
私、今世が無理なら、来世で彼と結ばれようって、ずっと想っていたの。
来世では、きっと、私、人間に生まれ変わるわ。
彼とまた出会って、恋をして、そして、きっと、この土地で、この海辺で一緒に暮らすわ。
私、そうするって決めたの。
でも、生まれ変わったら、全てを忘れてしまうでしょう。
だから、あなたが私を見つけて。
そして、その時に、ペンダントを返してちょうだい。
また一緒に暮らそうって、私、彼に贈るわ…。」
「生まれ代わりなんて、わかるわけないだろう…。」
「きっとあなたなら、見つけてくれる。」
「さぁ…どうだろうな…。」
疲れた船乗りの手を、人魚の手は、いつまでも包みこんでいた。
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つづく