※注意※

このお話はゲーム「スタデュバレー(switch版)」の二次創作です。「ラム酒」などゲームには出てこない単語・情報が出てきます。ご注意ください。全16話にっこり



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https://ameblo.jp/october-rabbit-1010/entry-12788728185.html 





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第5話_人魚のペンダントの伝承

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「お、おじいさん、そんなに雨に濡れて、寒くないですか?」

自分はカッパを着ているが、老人はそうではなかった。ライナスのような方なのだろうか。いきなりの出会い過ぎて、買う、買わないを判断なんて、できなかった。

おじいさんは、大きく笑ったあと「おれは水夫だからな。慣れっこだ。」と言った。

「商売を、ここでされているんですか…?」

「そうさ、、人魚のペンダントをね。」


年老いた水夫は、ペンダントを手渡してくれた。宝石のような貝だ。

水夫だから、海で採れた貝を加工して、売っているのだろうか?

「このペンダントって、、なんなんですか?


いや、この地域で、プロポーズに使う物だとはわかっています。

ただ、自分は他所の土地から来たので縁がなくて、、指輪ではなくて、人魚のペンダントなんだなぁって、不思議に思いました。

これは、どういう物なんですか?」


水夫は、木陰に横たわる丸太に、ゆっくりと座った。木陰のお陰で、降り注ぐ雨足は、まだマシなようだ。

「そういえば、釣りをしながら飲もうと思っていたんです。どうです?」

隣の岩に腰を掛け、カバンにいれておいたラム酒の小瓶を差し出した。

水夫のほの暗い眼が、少し見開いたような気がした。

ありがとう、と受け取り、老人はラム酒で口を湿らせ、満足そうに大きく息を漏らした。

あぁ、、久しぶりだな、懐かしい、と、小さくつぶやいていた。

「この貝は、おじいさんが見つけたんですか?」

「いいや、違う。

…人魚だ。

…人魚の、ペンダントだ。」

「人魚。」

去年の冬、夜の市で、マーメイドショーを見た。


ショーを見る前は、女性が仮装しているだけで、偽物なのだろうか、と邪推していたが、ショーを見て、本物の人魚がこの世界にはいるのだと知った。


「人魚が作ったペンダントを、おじいさんは売っているんですね。」

かざしたペンダントを眺める。


おじいさんは、人魚のペンダントにまつわる逸話を、話しはじめた。


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つづく