※注意※
このお話はゲーム「スタデュバレー(switch版)」の二次創作です。「ラム酒」などゲームには出てこない単語・情報が出てきます。ご注意ください。全16話

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第5話_人魚のペンダントの伝承
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「お、おじいさん、そんなに雨に濡れて、寒くないですか?」
自分はカッパを着ているが、老人はそうではなかった。ライナスのような方なのだろうか。いきなりの出会い過ぎて、買う、買わないを判断なんて、できなかった。
おじいさんは、大きく笑ったあと「おれは水夫だからな。慣れっこだ。」と言った。
「商売を、ここでされているんですか…?」
「そうさ、、人魚のペンダントをね。」
年老いた水夫は、ペンダントを手渡してくれた。宝石のような貝だ。
水夫だから、海で採れた貝を加工して、売っているのだろうか?
「このペンダントって、、なんなんですか?
いや、この地域で、プロポーズに使う物だとはわかっています。
ただ、自分は他所の土地から来たので縁がなくて、、指輪ではなくて、人魚のペンダントなんだなぁって、不思議に思いました。
これは、どういう物なんですか?」
水夫は、木陰に横たわる丸太に、ゆっくりと座った。木陰のお陰で、降り注ぐ雨足は、まだマシなようだ。
「そういえば、釣りをしながら飲もうと思っていたんです。どうです?」
隣の岩に腰を掛け、カバンにいれておいたラム酒の小瓶を差し出した。
水夫のほの暗い眼が、少し見開いたような気がした。
ありがとう、と受け取り、老人はラム酒で口を湿らせ、満足そうに大きく息を漏らした。
あぁ、、久しぶりだな、懐かしい、と、小さくつぶやいていた。
「この貝は、おじいさんが見つけたんですか?」
「いいや、違う。
…人魚だ。
…人魚の、ペンダントだ。」
「人魚。」
去年の冬、夜の市で、マーメイドショーを見た。
ショーを見る前は、女性が仮装しているだけで、偽物なのだろうか、と邪推していたが、ショーを見て、本物の人魚がこの世界にはいるのだと知った。
かざしたペンダントを眺める。
おじいさんは、人魚のペンダントにまつわる逸話を、話しはじめた。
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つづく