※注意※
このお話はゲーム「スタデュバレー(switch版)」の二次創作です。「ラム酒」などゲームには出てこない単語・情報が出てきます。ご注意ください。全16話

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https://ameblo.jp/october-rabbit-1010/entry-12788728185.html
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第4話_人魚のペンダントの伝承
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フエダイを釣ろうと、海に行った。
雨の日に釣れるそうだ。
エリオットの小屋の隣の橋を渡る。
浜辺に打ち上げられた、珊瑚やウニを見つけて、視線が左にながれる。
木の間に、普段見かけない物を見つけて、ぎょっとした。
老人がいた。
雨の中、木陰に立っている。
この町で、はじめて出会う人だった。
「…どうも、こんにちは。」
老人は、口の端を広げて、笑顔を浮かべる。
「こっちにおいで。」
貧しい生活で苦労をしてきたような風貌で、日焼けなのか、肌は浅黒く、深いシワが顔に刻まれている。
近づくと、老人は、じぃっと瞳を覗き込んできた。
「おぅ、瞳を見りゃわかる…お前さん、心に決めた大事な人がいるんだな。」
「………。」
「おれは『人魚のペンダント』を売ってるんだ。
こいつを渡してやれば、向こうには、お前さんの言いたいことがわかるはずだ。」
そう言って老人は、ぐいっと拳を突き出し、青い巻き貝のペンダントを差し出した。
先日読んだ博物館の本に書かれていた。この地域では、プロポーズの際に、このペンダントを相手に渡すそうだ。
「買うかい…?」
突然の出来事に、しどろもどろになってしまった。
なんて答えたものか、言葉が出ない。
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つづく