いつもと同じ

表参道である。


しかし

いつもとは違う景色が

広がっている表参道だ。


僕は今日

あることを

成し遂げに

行かなければならない。


成し遂げにとか言いながら

それは別に容易いことだ。


容易いとは言いながら

僕としては意外と

手強いことでもある。


以前

ここでも書いたように


先日

SHINeeの

代々木体育館ライブに行き

その魅力と迫力に圧倒され


後ろの席の女の子の

「やばい」十段活用 に支配された事は

言うまでもない。


今回

SHINee代々木体育館ライブに

どうしても行きたかったので

僕はチケットを抑えるべく

あらゆる角度から攻め

何とかチケットを抑えようとした。


結果

何とラッキーなことに

二日二枚ずつ抑えることが

できたのだ。


そこで

行って来たのが

前回のライブ。


そして

さらに今日24日分も

取れていたので

二回目として行こうと思っていたのだが

急なスケジュールで

行けなくなってしまった。


何とも贅沢な

SHINee World代々木体育館ライブ運。


前回

観れた事もあり


今回は行きたい誰かに

譲ろうと思ったのだが


そう思っても

なかなか譲る相手が

意外と見つからないのがリアル。


そこで

最終的に僕が考え付いたのは


「自分と同じぐらい

観たいと思っている人に

このチケットを譲ろう」


ということだった。


そこで

ハッと思い付いたのが

前回代々木体育館に

SHINee World を観に行った時


「チケットを譲ってください!」


と書いた紙を持って立っている

チケットを買えなかった

ファンの女の子たちの姿だった。


「あの子たちにもし

このチケットを渡せたら

どれだけ喜ぶことだろう」


そこで

普段チャリティとかもやらない

自分にとって

こういうクリエイティブチャリティを

たまにはそういう世界でビジネスする

大人として

たまにはやるべきではないか

という衝動にかられ


「誰かSHINee World ライブを観たいのに

チケットを買えなかったファンの人に

チケットをプレゼントに行こう!」


という企画を思い付いたのだ。


そこで

バッグに今回

突然のスケジュールで

行けなくなってしまった

チケットを二枚しまい


ライブが始まるまで

まだまだある時間

用事が終わった表参道のサロンから

代々木体育館に向けて歩いて

向かい始めた。


246から

代々木体育館に向かい

いくつか行きたいショップに寄りながら

徐々に代々木体育館に近付いていく。


グッチ

ルイ・ヴィトンなどなど・・・。


しかし

代々木体育館に近付くにつれ

なぜか緊張している自分に気づく。


なぜだ。


今から

SHINeeのライブに

どうしても行きたいファンに

チケットを譲り

しかも無料でプレゼントしようと

しているにも拘らず

プレゼントしようとしている

こっちが緊張している。笑


いつもと

表参道も景色が違うように見える。


どういうことだ。


緊張のあまり

なぜか明治神宮側に

信号を渡ってしまった。


こっちに来てしまうと

代々木体育館前で

歩道橋を渡らなければならない。


確か歩道橋の下で

前回も

いや

前回というより

代々木体育館で誰かのライブを

やっていると

その下で

「チケット譲って下さい」

という紙を持ったファンの方が

いることが多いではないか。


そこで

歩道橋を下りて

もしそういう人がいたら

プレゼントしようと思っていた。


しかし

表参道を歩きながら

かなりいろんな事を考えた。


もし三人以上の友達が一緒で

チケットを探していて

僕が二枚渡したところで

逆に争いが起きるのではないだろうか


もし僕がチケット渡し

何かあった場合

何があるかわからんが

逆にいい迷惑になるのでは

ないだろうか


それよりも

僕がチケットなど

いきなり渡したところ

怪しまれ大声を出されて

何か事件に巻き込まれるのでは

ないだろうか


など

かなりのネガティブシミュレーションを

重ねながら

その歩道橋を上り始めていた。


なぜチケットをあげるほうが

こんなにも緊張しなければ

ならないのだろうか。


そして

歩道橋を上がり切り

代々木体育館の入り口を眺め

あのあたりにいるファンの人達を

観てみようと考えていた。


そこで

一発目に

「チケットを譲ってください」

という紙を持っている人に渡すことを決め


もし逆に空気的に違うのであれば

今日は仕方なく

チケットを持ち帰り

残念ながら無駄にするしかない

という覚悟も多少あった。


僕は昔

『プラチナチケット』という番組を

企画したことがある。


正直その番組は

誰のプラチナチケットにも

ならなかったが 笑


笑うところです


まさにこういう

〇〇のライブに行きたいけど行けない

という人に

いきなりチケットを渡すなどして

その後の姿を観るということを

やろうとしたが

なかなかそのままできなかった。


それをそのままできたのが


『百萬男』(フジテレビ)


という街を歩く男に

いきなり百万円を渡して

5時間で使えという番組だったが。


さらに

歩道橋を歩き

代々木体育館側に

降りようとしたその時!


その歩道橋を下りる角に

多分高校生かもしかしたら

中学生ぐらいの女の子が


「SWチケット譲ってください」


と書いた紙を持って立っていた。


僕は一番目の人と決めていたので

このファンの人にプレゼントしよう

と思ったのだが

もの凄い人通り。


この中で

突然その子の前で立ち止まり


「こ、これ」


などとチケットを突然渡したら

譲ってくださいと言っている当人も

叫ぶかも知れないし

何をどう勘違いされるかもわからない。


さらに

まわりの通行人も

どういう反応をするものか

想像もつかない。


アホな勘違いが


「あの人!あの人!」


など意味もなく叫ぶかも知れない。


アホか。


こっちが

プレゼントしようとしてるのだ。


しかし

そんな突然チケットを

無料でくれることなど

なかなかないだろうし

伝わらない。


そこで

その紙を持ったファンの女の子の前を

一回通り過ぎる。笑


俺は何をしているのか。


大体

スケジュールで

観れなくなったにも拘らず

こんな時間を過ごしていては

全く意味がない。


速やかに

チケットをプレゼントして

移動しなければならない。


通り過ぎて

その女の子を見る。


その眼差しは

歩道橋を歩いてくる

SHINeeライブに向かう人へ

真っ直ぐに

めちゃめちゃ真剣に輝いている。


この人に早く渡そう。


そう決めた僕は

歩道橋の端で

リュックからチケットを出そうとする。


しかし

なぜか

あげるにも拘らず

泥棒するぐらいの緊張感がある。


どういうことだ。


僕の周りを

たくさんの人達がスローモーションで

通り過ぎていく。


チケットを出し

リュックのベルトをしめ

さあ渡そうと思ったが


かなり怪しい。


今の僕は

相当怪しい。


しかし

ここはスピードしかない。


その紙を持ったファンの

女の子に近付き

僕は言った。


「SHINee観たい?」


うわー!

めちゃめちゃ一番怪しい言葉!


その子も


「え・・・はい・・・え・・・」


って言ってるよ!


「これあげる!」


うわ!


俺完全に

中学生の初めての告白だ!


寒い!


女の子は


「え・・・」


と完全に二歩下がりながら

チケットを受けとり

かなり怪しげな眼差しで

チケットを確認。


しかし

本物のアリーナ席

しかもかなり前という

ことを理解すると


明るい表情になった。


僕はその女の子に決めたのは

一番目に会ったということと同時に

僕が今日履いていた迷彩ジャージと同じ

アディダスとジェレミー・スコットコラボの

白の羽根つきスニーカーを

履いていたことが

一瞬でわかったからなのだが


「同じアディダス」


と言ったが

何の理解も得られず 笑


とにかく僕は去ろうとしたら


彼女が

一言


「いいんですか」


と言った。


僕は


「行きたかったんだけど

行けなくなったから」


と言い

歩道橋を渋谷方面に降りて行った。


降り切ったところで

振り返ると

もう一人友達がいたのか

もう一枚を渡して


「あの人が」


と言っているのが観えた。


僕は

タクシーを停めるのと同時に


爽やかに

手を振って返したが

意外と一番ドキドキしているのは

多分僕だったに違いない。


そして

タクシーに乗り

颯爽と消えたと思ったら

明治神宮の信号待ちに引っ掛かった。


イメージでは

颯爽と右折している感じだったのに

何かずっと停まっている。


そんなもんだ。


あれから

彼女たちは

どうしただろうか。


「これ怪しくない?」


とかいいながら

かなり迷って


「でもタダだしとりあえず観る」


となり

観ながらも


「ドッキリ?」


とかカメラを探したりしただろうか。


それとも

僕がこの間観た

セットリストと同じ展開の

SWを観て


「こういうことって

生きてるとあるんだ」


とフワフワした感じが

良き方向に進んで

ライブを楽しんでくれただろうか。


僕は

小学生の時に

相模湖に行き

親に買ってもらったばかりの

水筒を失くし

探していたら終電になり

それが途中駅までしかなく


高尾の山を歩き

暗くなりかなりやばかった

限界のところを

トラックに拾ってもらって

東京に帰ったことがある。


あのトラックの運転手さんは

今もわからない。


もう35年ぐらい前の話だ。


僕は

あの運転手さんがいなかったらと

時々思い出すし

神様っているのかなとか

当時思ったし

チャンスを学んだ時間でもあった。


今日の女の子は

今頃どう思っているだろうか。


人生

そう他人にいいことをしてきていないが

今日はもしかしたら

多少はいいことをしたのだろうか。


もし楽しんでくれていたら

嬉しい。


おちまさと


今日は

そのサロンと代々木体育館の最中

お気に入りのパンツと

ジャケットを発見。


しかも

たまたま

あったサイズがジャストで

何だか今日はいい日だった。


明日から

新しい一週間が始まる。



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