2013.12 ソロキャンプ

埼玉県川越市 びん沼自然公園キャンプ場



山猫は自宅からとても近場のキャンプ場を見つけた。
そこは山猫の自宅から1時間もかからない。
そして山猫にとってそれは、約半年振りのキャンプとなった。

「キャンプのやり方だってうまく思い出せないんだ。今回は近場のキャンプ場にしよう」

それがこのキャンプのテーマだった。



駐車場からキャンプサイトまでおよそ2〜300mの距離だ。
広大な公園の中に自由広場とバーベキュースペースがあり、さらに進んだ先にキャンプが出来る敷地がある。



「悪くない…いや、とても良いところじゃないか」

事前の調べではかなりひどいクチコミも見ていて、山猫には多少不安もあったのだが、そこはとても良い雰囲気の場所だった。
日曜のこの日、目の前の自由広場では多くの人が思い思いに楽しんでいたが、「今日キャンプをされるのはお客様だけですよ」と山猫は受付の女の子に聞いていた。

「え、貸切りですか?夜の雰囲気はどうでしょう。変な人たちが入ってくるとかそんな事はないですか?」

「夜はとても静かな所です。来るとしても自転車暴走族くらいですよ」と女の子は少し微笑んで伝えてくれた。
彼女なりの山猫に安心してもらおうという気づかいだったのだろう。きっと☺️


2〜300mの距離を2往復して荷物を運び、山猫は半年振りのDODライダーズワンポールテントとDDタープの設営をして、鰤のサクをつまみにビールを開ける。

ようやく久々のキャンプが開始だ。



キャンプに行けない間に買っておいた新兵器たち。
小さなLEDランタンとワークマンのミニテーブル、そしてウッドストーブの台としての木片。

どれも半年振りの山猫のキャンプにしっくりと馴染んでくれていた。






「いやぁ…やっぱりたまらんなぁ…」

誰も居なくなったこの広大な公園で、山猫が独りつぶやいていたのはもちろん言うまでもない。



17:00を過ぎた頃、見回りの方がサイトにやって来た。
管理棟が閉まる時間なのだ。

「おぉ、いい感じにやられてますね。今日は貸切りなんでゆっくりなさってください」と年配の係の方が声をかけてくれた。

「ここもね、すっかり人気になって、昨日なんかは20組もキャンプされてたんですよ」と山猫は話しを聞いた。
週末はこの季節でもかなりいっぱいになるようだ。

「皆さんこのスペースでうまいこと隙間を見つけて張られてますよ。それでもね、平日はまだそれほど人は来ないです。火の始末だけよろしくお願いしますね。また21:00頃に見回りに来ます」と話し、年配の方と若者の見回り係の二人は去って行った。

ご苦労さまです、と見送りながら、
「なるほど。ここは平日ならまだ空いてるんだな」と思いながら山猫はのんびりと焚火を続けた。
12月だが気温はそれほど冷え込んでおらず、焚火がとても心地良い。




山猫は味噌タンメンを食べ、麦焼酎のお湯割りをちびちびと飲んだ。

麦焼酎には梅の代わりに大葉と鷹の爪を入れてみた。
寒い季節にはピリ辛で身体も温まった。

そして山猫はこの日以来焼酎のお湯割りにハマる事になる。
さらに、お湯割りには芋焼酎が合うらしいと知ったのは後の話しだ。

この公園は21:00に消灯・消火のルールらしいので、山猫は20:00には片付けを始めた。
そして見回りのおじさんに、どうですか?俺は模範的なキャンパーでしょと、ドヤ顔してから寝ようと思っていた。

でも満腹になり、焼酎お湯割りをお代わりし続けた山猫は、おじさん達を待たずしてシュラフに潜り込むことになったのだったzzz…


朝だがまだ暗い。


早く寝てしまった山猫はまだ暗いうちに目が覚めてしまい、おもむろに朝焚火を始めた。

「久々のキャンプなんだ。一瞬一瞬を味わい尽くすんだ」

そんな事を思いながら、山猫は湯を沸かし白湯を飲んで身体を温めた。
貸切りなので誰に気を使う必要も無かった(ビバ完ソロ)。



山猫は徐々に明るくなる空を眺めながら焚火をしていたが、この薄暗い中、公園の中にひと気を感じる。

釣りをしにきた人、犬の散歩をする人、ランニングをする人。

「そしてキャンプをする俺」と山猫はつぶやいてみた。

ここは公園の中のキャンプゾーンなのだ。
山猫は辺りが暗いうちは人の足音に驚き、警戒もしたけれど、なぜこんな朝早くから人が居るのかが分かればある程度安心出来た。

何よりもこの頃に山猫は、すっかりこのキャンプゾーンを気に入ってしまっていた。

キャンプゾーンは駐車場から遠く、水場もトイレも遠くなる。
だがそんなちょっと不便な場所に対応する為に山猫はバックパック装備を検討し荷物をミニマル化してきた。
すべては静かに寛げるキャンプの為である。



朝食のカレー飯を食べた後、のんびりとうたた寝をしてから撤収を開始する。

「もう帰ってきたの?ホントに近いんだね〜」と妻はきっと驚くだろう。
「良いとこ見つけちゃったよ」と話してやろうと妄想しながら、山猫の半年振りのキャンプが無事に終わった。

さて山猫はこのキャンプでブランクを取り戻せたのだろうか。
年末はいよいよ冬の陣なのである。
山猫は確かな手応えを感じながら帰路を走った。

おわり…