「ちゃんと褒めてるのにうまくいかない」という声を聞くときがあります。
きちんと声をかけたり、撫でてあげたりしているのに、どうも「褒めたところ」が伸びていかない。
しつけの本や、ネットのサイトなんかには「大げさなぐらいに褒めてあげましょう」と書いてあるし、その通りにやっているのにと。
こういうことは、実は少なくありません。
何故、こんなことが起こるんでしょう?
たとえば、こんな風に考えてみてください。
あなたは、プロ野球には興味はありますか?
あるとき、ある人から「この仕事を手伝ってくれたら、甲子園球場の阪神-巨人戦のチケットをあげるよ」と言われたとします。
喜ぶ人、全然喜ばない人といると思います。
阪神ファンであれば、それはもう喜ぶでしょう。
でも、たとえばヤクルトファンの人や、野球にまったく興味がない人は喜ばないでしょうね。
野球が嫌いなんて人だと、怒り出しちゃうかもしれません。
「褒めているのに、うまくいかない」というのは、これと似ていると思いませんか?
私たちは、「いい子ね」とか「お利口」とか、そういう風に声をかけてあげれば、犬が喜ぶだろうと思ってしまいがちです。
ですが、それが特に「嬉しいことではない犬」もいるんですね。
相手に何かお礼をするとき。
誰かに何かプレゼントを贈るとき。
まず考えるのは「相手が喜んでくれるだろうか?」だと思います。
「私がもらって嬉しいんだから、相手も喜ぶに違いない」とは、あまり思わないんじゃないでしょうか?
「私は嬉しいけど、相手はどうかなぁ。喜んでくれるかなぁ」と、考えますよね。
「褒める」っていうのも、これと同じだと思います。
人間の都合で「褒めてるんだから、言うことを聞いてよ」というのは、ちょっと犬に対して失礼かもしれません。
「犬を褒める」
とてもシンプルなことのように思えますが、きちんと考える必要もありそうです。
でも、難しく考えることでもありません。
「うちの子が、喜んでくれること」を、してあげてください。