「行動を減らす」ということについてのシリーズ記事、7回目です。
前回のエントリ
では「分化強化」というものをご紹介しました。
ものすごく簡単にいえば「適切な行動を増やして、不適切な行動を減らす」というものになります。
そして今回は、これを強くお薦めする理由について。
このシリーズ記事の1回目
で「犬を叱る」という対応につきまとうリスクと注意点について、ご紹介しました。
ざっと項目を挙げると、↓のような感じです。
・どんな学習をするかがわからない
・犬が無気力になるかもしれない
・攻撃行動を誘発するかもしれない
・そもそも、効果は一時的でしかない
・システムからの逸脱行為が出るかもしれない
・中途半端な「叱り」は、かえってご褒美になる
・どの程度叱ればいいのかよくわからない
注意すべきポイントは、たくさんありますね。
そして、もう一つ「注意すべきポイント」があります。
それは、犬ではなくあなた、飼い主さんに関わるポイントです。
たとえば、わんこが「ゴミ箱漁り」をしていたとしましょう。
あなたはその瞬間を目撃します。
そして、すぐさま「ダメ!」と声をあげながら、ゴミ箱からわんこを遠ざけます。
この状況は、こんな流れになります。
漁っている→ダメ!と言う→漁っていない
この「漁っている→漁っていない」という状況変化は、「ダメ!」という行動をしたあなたにとって、メリットでしょうか?デメリットでしょうか?
もちろん「メリット」ですね。
イタズラを制止することができたわけですから。
すると、この「ダメ!と言う」という行動は、今後増えることになります。
少しずつ、少しずつ、自分でも気がつかないうちに、増えていってしまいます。
そうなると、いつの間にか「叱ることをメインにした、かかわり方」になってしまいます。
これは、非常によろしくありません。
何がどうよろしくないのか?
↑に挙げた注意点やリスクが、ますます増大していくことになるんですね。
そして、下手をすると「攻撃行動が生まれる」といった問題や、「犬が段々となつかなくなる」といった問題が起こるかもしれません。
「問題を解決しようと思って叱ったら、また別の問題が出てくる」というわけですね。
これは、実に面倒なことになってしまいます。
そこで、「分化強化」を基本に据えるわけです。
前回のエントリにも書いたように、分化強化は「適切な行動を増やすことで、不適切な行動を減らす」という対応です。
つまり、基本的にやるべきことは「行動を増やす=簡単に言えば褒める」ということ。
これを基本に据えていれば、飼い主さんが行う対応は「叱るのではなく、褒める」になりますから、「叱ることのリスク」はそれほど気になりません。
つまり、「賢いなって思ったら褒める」ってことを繰り返していたら、いつの間にか「本当に賢くなってた」ということになるんですね。
本当ですよ?
嘘じゃありません。
是非とも「問題のある行動を減らそう、潰そう」とは考えずに、「どんな賢い行動を増やしていくか?」を、基本に据えていただきたいなと思います。
このシリーズも、次回でラストの予定です。
もう少しだけ、お付き合いのほどを。