問題行動の原因の捉え方 機能で考えよう | わんこも、そして飼い主さんも

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「問題行動の原因」について、色々と書いてきました。

「問題行動の原因はどこにある?」その1その2
問題行動の見つけるには? 基本的な考え方

どの記事においても共通しているのは、「行動の原因を、動物の内面に求めても意味がない」というもの。
私たちは、通常「怒っているから噛むんだ」とか、「怖がっているから逃げるんだ」という風に、「内面に行動の原因を求める」という考え方をしますが、↑にある記事でも書いたように、そういった考え方は循環論に陥るため、何も意味を持たないんですね。
そこで、「行動と環境の変化を注意深く観察して、そこに原因を見出していく」という作業が必要になるわけです。

さて、この「行動と環境の変化」に、「原因を見出していく」という作業は、「行動を機能面で捉える」という意味を持ちます。
さっぱり意味がわからない感じでしょうか?
噛み砕いて解説します。


■他の犬に吠えるという問題がある犬の場合

散歩中に他の犬と出会うと、見えなくなるまで吠えてしまうという問題は、結構あったりします。
この問題を「縄張り意識」とか、「他の犬が嫌いだ」とか、「社会化不足が原因」という風に考えても、前に進めていくのはちょっと困難です(困難な理由は、上記記事を参照のこと)。
そこで、行動と環境の変化を見てみます。

 他犬が来る → 吠える → 他犬が去る

「行動(吠える)」と、「環境の変化(来る→去る)」という流れが出来上がっていますね。
ここから導き出される「行動の原因」とは、「他犬が去るから、吠えているんだ」というものです。
これを、「行動の機能」という視点から見るんです。

「他の犬が去るから、吠えている」ということは、言い換えれば「他の犬を遠ざけるために、吠えている」ということになります。
これが、「吠えるという行動が持つ機能」です。


 吠えるという行動の機能:「他の犬を遠ざける」


ということは、犬にとってみれば「結果的に、他の犬が遠ざかればいい」わけです

この視点から見ると、犬は、たまたま「吠える」という行動を選択しただけで、「他の犬が遠ざかる」んなら、別に「吠える」じゃなくてもいいと考えることができます

つまり、↓のような流れでもいいわけです。

 他犬が来る → 飼い主を見る → 他犬が去る
 他犬が来る → オスワリする → 他犬が去る
 他犬が来る → フセをする → 他犬が去る

それぞれ、「飼い主を見てれば、他の犬はどこかに行く」「オスワリしてれば、他の犬はどこかに行く」「フセをしてれば、他の犬はどこかに行く」という流れになっています。
いずれも、「他犬が去る」という「結果」をもたらす流れです。
どれを選択しても、「他の犬はどこかに行く」という結果がもたらされます。
つまり、「他犬を遠ざける」という「目的」は、どの行動であっても達成できるんですね。

私たちでたとえれば、「大阪に行く時」に、電車で行こうが、バスで行こうが、車で行こうが、新幹線で行こうが、「結果的には、『大阪に行く』という目的は達成される」のと同じです。

「他の犬に吠える」のも、まったく同じなんです。

犬は、たまたま「吠える」という行動を「選んだ」だけです。
他の選択肢を、「知らない」だけです。
実際、別に吠えなくても、他の犬はどこかに行きますから。


  「問題となっている行動は、
   どんな機能(なんのために?)
   を持っているのか?」


これが、「行動を機能面で捉える」ということです。

そして、行動を機能面で捉えることで、とても素敵な結果が生まれます。
それは、また後日。