手順4:製造工程一覧図の作成


1. 手順の目的

製造工程一覧図は、原材料の受け入れから最終製品の出荷に至るまでのすべての工程を時系列で明確に示す図です。
HACCPチームがこの工程図を用いて、どの段階で危害が発生する可能性があるかを分析するために使用します。

目的は以下の通りです:

  • 製造工程全体を「見える化」して、危害分析を容易にする。

  • 管理点や検査工程の位置づけを正確に把握する。

  • 部門間で製造フローの理解を共有し、情報の食い違いを防止する。


2. 製造工程一覧図に含める範囲

製造工程一覧図には、原料から最終出荷までを漏れなく含める必要があります。
一般的な食品製造工場では、次のような工程を含みます。

 

【原料受入】
原料・資材の検収、外観・温度・ラベル確認

 

【保管】
冷蔵・冷凍・常温保管、在庫管理

 

【前処理】
洗浄、解凍、カット、選別など

 

【調理・加工】
加熱、冷却、混合、成形、味付けなど

 

【充填・包装】
容器詰め、密封、真空包装、ラベル貼付

 

【冷却・冷凍】
製品温度を規定範囲まで下げる

 

【保管(出荷前)】
製品の一時保管(温度管理)出荷積み込み、輸送温度管理、配送記録

 

【廃棄・副産物】
処理不良品・廃棄物の分別・処理


3. 工程図の作成方法

1️⃣ 現場確認(ヒアリング+実地観察)
 - 製造現場の作業者やライン責任者から工程の実態を聞き取る。
 - 実際の流れを現場で確認(机上の仕様書だけでは不十分)。

2️⃣ 工程の分解
 - 「原料投入→加工→包装→出荷」など、作業単位ごとに細分化。
 - 外部委託工程(例:殺菌、配送など)があれば明記。

3️⃣ 図面化
 - 流れを矢印(→)でつなぎ、工程順に並べる。
 - サブ工程やバイパス工程も記載し、例外的な流れも明示。

4️⃣ 確認・承認
 - HACCPチーム全員で確認会議を行い、現場との整合を取る。
 - 必要に応じて製造現場で実地検証を行う(手順5につながる)。


4. 工程図の例(簡易モデル)

原料受入➔保管➔前処理➔加熱➔冷却➔包装➔金属探知機➔保管➔出荷

また、食品によっては次のようなバリエーションがあります:

  • 冷凍食品:受入 → 解凍 → 調理 → 急速冷凍 → 包装 → 保管 → 出荷

  • 惣菜・弁当:受入 → 洗浄 → 切断 → 加熱 → 盛付け → 包装 → 冷却 → 出荷

  • 清涼飲料水:原料受入 → 調合 → 濾過 → 充填 → キャッピング → 検査 → 出荷


5. 工程図作成時の注意点

  • 実際の作業順と一致していること(現場優先で記載)。

  • 副工程・再加工・廃棄の流れも含める。

  • 温度管理が必要な工程には温度条件(例:加熱80℃以上3分)を併記すると良い。

  • **外注工程(委託製造、配送、殺菌など)**も明記する。

  • 図は定期的に見直し、工程変更(設備更新・作業順変更等)時は必ず改訂する。


6. 手順5との関係:「現場での工程図確認」

手順4で作成した工程図は、次の手順(手順5)で**現場確認(オンサイトバリデーション)**を行います。
実際の作業手順と工程図の内容に差異がないかを確認し、必要に応じて修正します。


7. 運用のポイント

✅ 製造・品質管理・設備担当が連携して作成すること。
✅ 新ライン・新製品導入時は必ず更新。
✅ HACCP文書管理台帳で最新版の工程図を管理・配布すること。
✅ 工程図の最新版を現場掲示することで、従業員の意識向上にもつながる。