手順5:製造工程一覧図の現場確認

 

1.手順の目的

HACCPの信頼性は、現場の実態に即した工程把握から始まります。
「製造工程一覧図(手順4)」は図面上の設計ですが、現場では作業の順序・動線・設備配置などが微妙に異なる場合があります。

この手順の目的は、

  • 図面と実際の製造ラインの整合性を確認する。
  • 見落とし工程(サブ工程や移動・保管工程)を把握する。
  • 危害発生の潜在リスク(交差汚染、温度逸脱、異物混入など)を把握する。
  • HACCPチーム全員が現場の流れを共有・理解する。

 

2.現場確認の流れ(実施手順)

【①事前準備】 
手順4で作成した「製造工程一覧図」と「現場地図」「製造仕様書」「ライン構成図」を持参する。

 

【②現場観察】
現場観察 実際の作業を見ながら、工程順序・動線・作業環境を確認。原料の流れ、人・モノ・廃棄物の動きもチェック。

 

【③ 差異の記録】
工程図と現場作業に差異がある場合(例:冷却→包装の間に一時保管があるなど)は、現場で記録。

 

【④ ヒアリング】
作業担当者から実際の手順や作業習慣を聞き取り、図面上で抜けている工程を洗い出す。

 

【⑤ 修正案の作成】
差異を整理し、必要に応じて工程図を修正する。

 

【⑥ HACCPチームで承認】
修正後の工程図をチームで確認し、最終版として文書管理する。

 

3.現場確認で特に注意すべきポイント
(1)交差汚染のリスク

原料と製品の動線が交差していないか。

洗浄済み器具と未洗浄器具が混在していないか。

廃棄物や副産物の搬出経路が製品ラインと交差していないか。

 

(2)温度管理

冷蔵庫・冷凍庫の開閉頻度や積載状況。

加熱・冷却工程で設定温度と実測値が一致しているか。

 

(3)設備・機器の配置

設備の動線が工程図と一致しているか。

清掃困難箇所(デッドスペース)がないか。

 

(4)作業者の行動

手洗い・着替え・入室ルートが衛生区分に即しているか。

作業の「習慣的省略」や「非公式ルール」が存在しないか。

 

4.現場確認の記録様式(例)
【確認日】2025年10月6日

【製品名】冷凍うどん(250g)

【立会者】品質管理責任者、製造課長、HACCPチームリーダー

【確認結果】工程「冷却→包装」の間に一時保管棚(10分程度)が存在。工程図に追加要。

【是正対応】工程図を修正し、HACCP会議で承認予定(10月10日)。

【確認者】 ○○(品質管理部)

 

5.手順5の成果物

この現場確認の結果として以下の成果を得ます:

・修正後の製造工程一覧図(最新版)

・現場確認記録書(検証ログ)

・改善提案・是正報告書(必要時)

これらはHACCP文書として保管し、次の手順(手順6:危害分析)で活用します。

 

【運用のポイント】

✅ 机上だけで終わらせない
 → 実際の現場で作業を「見る・聞く・確かめる」ことが重要です。

✅ 現場責任者・従業員との対話を重視
 → 現場にしかわからない「実務上の癖」や「非公式ルール」を把握。

✅ 変更時の再確認
 → 設備更新・動線変更・作業手順改訂などがあれば必ず再実施。

✅ 記録の保管と共有
 → 現場確認記録書は、HACCP文書フォルダに保存し、品質管理・製造・保全部門で共有。