オーディブルで聴きました。

 

ミステリ作家の青柳さんの実話怪談本。

 

実体験、学生時代から聴き集めているこわい話、ふしぎな話が49篇収録されています。

 

友人知人と深夜まで話しているときに話の流れでふと聴くことができるような雰囲気の話が多く載っています。ほとんどの話は無理がなくて、いい意味で大げさじゃないし、こわがらせようとしていない感じ。

 

わたしは怪談が好きなんですけど、この本のなかで『怪談ファンならだれでも知っている……』と書かれていることを知らないんです。それはポピュラーというか王道な楽しみ方を熱心にしていないからだと思うんですけど、もしかしたらそんなに好きじゃないからなのかもしれません。そんな王道から大きく外れた邪道も邪道な楽しみ方を気ままにしているわたしですけど、この本は楽しかったです。そう、なんだか楽しいんです。

 

「せっかくだから」

『怪談好きのひとに聞いてほしい話』と始まって『怪談好きのひとはどう思うだろうか?』で終わる話。

 

できるだけ内容に触れないように説明すると、怪奇現象が起きたあと体験者がなにごともなかったように過ごしているので、青柳さんは違和感を覚えて「そんなことがあったのによく平気ですね?」みたいなことを訊ねたら、体験者は妙に納得させるような答えを返してきたんだそうです。

 

さて『怪談好きのひとはどう思った?』

 

わたしは一応、怪談好きだと思っているので質問にのると……おもしろい怪談だと思いましたよ。

 

その不自然とも思われる体験者の行動は霊に呼ばれちゃっているからです! 魅入られちゃっているからです! と怪談的には答えたいところですけど……そういうひともいるだろうなあというのが正直な感想。

 

この話がいいなと感じるのはその会話を話に入れているところだと思うんですよね。ここがないと読んでいるわたしが違和感を持つし、後半部分を全て省いてしまったら印象に残らない話になっちゃう気がするもの。

 

「都会の熊」

『酔っ払って帰宅しているときに近所の住宅で熊の幻覚を見た』という話が、ある古い怪談を読んだことで印象が変わってくる、という話。

 

古い怪談を読んでいると、化け物を殺したら家族だった、みたいな話ってたまにあります。

 

そういう話って、殺したひとが恨みをかうようなことをしていたのか、逆恨みされたのかはわかりませんけど、誰かに恨まれた結果、起きた出来事だとわたしは勝手に解釈して読んでいたんです。良心の呵責が起こした幻覚とも読めますけどね。どういうことにしても起承転結の起承の部分を省いた話というか。

 

そいういう話が現代に聴いた話が加わることでどちらの話の印象も変わってくる、というのがおもしろいなと思いました。話がおもしろいというより、受け手の持つ情報によって話の受け取り方が大きく変わるという現象がおもしろい。

 

気になったのは「きみどりいろ」。

これはもしかしたらゴム人間? 一時期、緑のゴム人間の話ってよく聴きましたよね。いまもまだ目撃されているのだろうか。

 

わたしが好きな話は

 

禍々しい夢が印象的「きれいな病室」、

ヒトコワ的な「どこ行ったちゃったのかしら?」