祭りの昼間の時間はムックリ(アイヌの口琴)の演奏やアイヌの子供たちの踊りのステージなどがありました。
この祭りとは関係ありませんが素晴らしいムックリ演奏の動画を見つけました。ムックリ二重奏ですが、ほとんどもう一人は引き立てる役に徹しているようです。
この演奏はちょっとヤバいです(良い意味で)。
途中、若い人達でステージの掃除があった時です。
見るからに【割り当てられて、仕方なく掃除してる風の高校生くらいの少年】がいたのです。
多分その子はアイヌ人ではないようでした。
他の子たちはみんな一生懸命掃除している中その子だけは「掃除してる俺は格好悪い」と言う顔付きで、しまいにはホウキを持ったままステージの上で何もしなくなったその時です。
康子さんは、他の子達の掃除の手を一旦止めさせてから、少年に「どうして掃除を手伝わないのか?」と少し強い口調で言いました。
少年は、一瞬顔をハッとさせましたが、すぐに開き直って顔を横に向けてツッパっていました。
同じようなセリフを康子さんはその後数回言いましたが、少年は顔を困惑させながらも素直になれません。そんなことを2~3分やり取りした後、康子さんは言いました。
強く、愛情のこもっている声で…
「あなたね、掃除することがそんなにカッコ悪いと思ってるのかい?全然カッコ悪いことじゃ無いんだよ。素直になりなさい、掃除を手伝ってみなさい。絶対に心が軽くなる。私の言うことを信じなさい」
その後10秒くらい会場に沈黙が流れました。
そして少年はハッと思い直したようにテキパキと掃除を始めたのです。
その時、会場内から思わず拍手が起こりました。
最初、少年は明らかに「関係ねーよ!」という顔と態度だったのです。ところがハッと思い直してテキパキと掃除を始めた途端に顔付きが100%変わり、まわりの子たちの掃除も積極的に手伝い始めたのです。その時の彼の爽やかな笑顔は別人でした。演技でもなんでもない。むしろ最初のツッパってた彼のほうが【自分を守るための演技】だったと思います。
康子さんはちゃんとわかってたんですね、少年は本当は凄くいい子で【みんなと一緒に一生懸命掃除を本当はしたいのに、「テレ」と、普段の学校での仲間の中で「素直は舐められる」という経験から、自分を守ろうとしてた】ということを。
康子さんは、殻にこもる少年の心を解放したのです。だからこそ少年は本当に気持ち良さそうに掃除を始めたのです。少年は本当に嬉しそうな顔付きをしてましたから☆
文章にして、このことがどれだけ伝わるかわかりませんが、この時の康子さんの言葉と声は本当にシャーマンだと思う「感動」がありました。
少年が掃除を始めてから泣いていた人もいましたから…
確かにその時何かが確実に動いたと感じました。
僕は、康子さんが本物のシャーマンだと信じることが出来ました。
そして康子さんはカッコいいと思いました。