春節対聯不用愁 微軟公司幇你忙
エロショートメール「黄段子」撲滅に名を借りた反政府メール「灰段子」「黒段子」の取り締まりに、中国政府が乗り出していることは広く知られている。取り締まりと同時に、彼らは「健康的な内容」の「紅段子」の普及に躍起になっている。
翻訳したくないくらいつまらない中身なのだが、亜洲週刊の最新号が報じるように、裏に潜む政治性が中国ネチズンに毛沢東時代を連想させるらしい。「黄段子不可怕、可怕的是紅段子(黄段子は怖くない、怖いのは紅段子)」と記事は書いているが、そんなに心配することはないと思う。インターネットの時代にこんなにつまらないものが普及するはずがない。
■□世にも便利な「対聯ソフト」■□
ところで、亜洲週刊の記事でおもしろいソフトが紹介されていた。マイクロソフトが開発した「電脳対聯」。2年前に開発されたシロモノだが、対聯ニーズが高まる春節の時期に再び脚光を浴びているようだ。
対聯は右の句と左の句が対になった中国独特の文章表現で、春節のとき玄関などに飾られる。右と左の句の字数が同じで、さらに意味がきれいに左右対称になり、韻も踏んでいないとダメ(だから上のタイトルの対聯は本当は失敗作)……と、結構難しいのだが、このソフトは上の句だけ入れれば見事な下の句を作ってくれる。
例えば、上の句に「中華人民共和国」と入れると、ソフトが「天下蒼生不回家(天下の庶民は家に帰らない)」という下の句を選んでくれる(この句、実に意味深なのだが)。ほかの候補もあり、気に入らなければ語句を入れ替えることもできる。「ブリッジ」の部分にあたる「横批題」を入力して印刷画面をPDFにすれば完成だ(上の写真)。
亜洲週刊の記事は
「中南海內養碩鼠,大會堂邊生肥豬」
(訳)中南海の中では大ネズミを養い、(人民)大会堂付近では太った豚が生まれる
「五一節約會,六四開殺戒」
(訳)メーデーでは恋人と会い、6・4では殺戒を解く(?)
といった政治的な電脳対聯も紹介しているが、さすがにいずれも上の句を入れると「適当な語句が見つかりません」とソフトは制作を拒否してくる(NGワードは手動入力も不可)。
こんなソフトが出来るのは、「春節で対聯を考えるのがメンドクサイ!」と感じる中国人が増えているからだろう。でも、ホントに単に忙しくなっただけだろうか。文化の劣化が始まった、というのは考え過ぎ?