異常な暑さにやられた、今年の夏…。
歌舞伎座に行くまでは
ぜったい体調崩してたまるか!と、
体力作りとスタミナ回復に励む日々。
先週無事に行って来られた、ありがたや!

"夏"らしい演目ずらりで楽しかった
今月の歌舞伎座!
第一部~第三部を一日通しで。
存分に納涼させていただきました!


眺めているだけで楽しい、

演者の皆さんの個性溢れる団扇たち!

幸四郎の"涼風献上"。ほら、もう涼しい。

七之助の彼岸花と狐面が素敵。


染五郎の"発散!"が一番ツボに入った!
うん。うん、うん。
なにか、なにか、発散された気がする。


◽️◽️◽️◽️毎度長文注意◽️◽️◽️◽️


【八月納涼歌舞伎】第一部

『ゆうれい貸屋』


腕は良いのに、母親を亡くしてから、

働こうとしない桶職人の弥六・巳之助。


伊勢屋番頭久三・彌三郎が、注文した桶を

受け取りに来るが未だできておらず、

いない弥六のかわりに

平謝りの女房お兼・新悟。

そこへふらりと現れた家主の平作・彌十郎。

ここで、平作からほんわか笑わせながらの

彌三郎名題昇進の挨拶が。

おめでとうございます!


そこへほろ酔い加減でご帰宅の弥六に、

呆れるお兼と平作。

平作が叱ってみても、

気にするそぶりもなく一眠りする弥六。

自分にがいるから弥六がしゃんとしないと

思うお兼は里帰りを決意。

「憎くて帰るわけじゃない」と、

眠る(狸寝入り)弥六に語るお兼にグッと…。


そんな二人を見守る平作、しみじみと

人情味溢れる良いオヤジさんだなぁ~。

同じ家主でも、

『髪結新三』の長兵衛と比べると…(笑)

隣の魚屋の奥さんお勘・青虎、

亭主鉄造・福之助の惚気をかましつつ、

なにかと弥六の世話をやいてくれる。

良い人ばっかりな、この長屋。


そんな弥六のもとに、
まさかの芸者の幽霊染次・児太郎♡が
女房にしてくれとあらわれる。
昼間に弥六が人助けしたところを
たまたま目撃し見初めてしまったと。
まんざらでもない弥六。メンタル強っ!

染次の機嫌をとろうと
般若心経を唱える弥六だが、
どうにも唱えることができない。
身内に読経されると成仏してしまうので、
染次が邪魔をしていたのだった。
この場面の巳之助と児太郎のやり取りに笑い。

酒やら肴を(盗んで)用意してくれる染次に
夜のほうでも、
すっかり骨抜きになった弥六。
二人がお似合いで、
これはこれで幸せなんじゃないかと思うも。
美しくって色っぽい、
時々男前な染次さん素敵だし♡
……だけど。
あくまで…幽霊ですから!しかもこの世に
怨みをかかえた浮遊霊ですからっ…!
浮気したら殺すっ!って宣言してるからね!
実績もあるからね…!

さて。店賃を払わなきゃいけないのに、

働かない弥六と幽霊の染次には金がない。
そこで思い付いたのが「ゆうれい貸屋」!

屑屋の幽霊又蔵・勘九郎、
爺の幽霊友八・寿猿&
婆の幽霊お時・喜太郎、

娘の幽霊お千代・鶴松という面子を集めて。


恨みを晴らしたい人々への幽霊レンタル業…
これが大成功!!

商売が上手くいき喜ぶ弥六だが、
世の中には恨みを持つ人間が
いかに多いことかと憂いてしまう。
そりゃ人のダークサイドばっかり
見ちゃうからね、この稼業。

そこへ又蔵が大きなたんこぶを作って、
やって来る。
客の浮気した女房に化けて出たものの、
逆に殴られて追い出されたと嘆く又蔵。
か、かわいそう…。
あと、幽霊って殴れるのか…。

又蔵・勘九郎の独白が胸にキタ。
この世もあの世も金だが、
何事も生きていればこそだと……。
生きていればこそ…。
もう沢山だと呟いて消えてしまう又蔵….。
死ぬまでの、死んでからの
又蔵の苦悩に泣けた。勘九郎うまいねぇ。

そこへ"爺らしい爺"友八とお時があらわれ、
身内が供養してくれたからと成仏してしまう。

一人残された弥六。
又蔵の言葉が甦る。…生きていればこそ。
弥六は決意を胸に、家路へと急ぐ…。

家に戻るとあらわれたのが、
くれぐれも気をつけるようにと
染次に言われていた"鶴松そっくり"の
娘の幽霊・お千代!!……浮気症のな。
タイミングっ!
案の定、弥六にしなだれかかる有り様。
弥六が断っても、引く気全くなしなお千代。

そこへ!満を持して
怒り狂ったTHE幽霊なお姿の染次様、登場!!
たいそうご立腹の染次に、退散するお千代。
…怯える弥六。

白い着物に乱れたお髪で、ゆらゆらと…
いよいよ本性を見せた染次!!

やっぱり日本の夏は、
"和"の幽霊を見てナンボって
ところがあるので大満足!

でも、3階席だったので
お顔をしっかり観られなかったのよな…。
さぞや恐ろしくて色っぽかったろうな…。

弥六が無我夢中で仏壇の鉦を打ち鳴らすと、
消えてしまった染次……。

そこへ平作と長屋の人々がやって来る。

平作主導のもと皆で読経を行い、
ちゃんと染次を成仏させてあげる弥六。

戻ってきたお兼に
弥六は今までのことを詫び、
心を入れかえることを誓うのだった…。

…ううう。ええ話や~~!!
笑いありーの、怖さありーの、
泣けるありーの。ええお話でした。

生きているうちに、ね。
生きているうちに、
自分がしなくてはいけないことを、やろう。
そう思った。



『鵜の殿様』


今年二月の博多座で観た『鵜の殿様』が
また観られた嬉しさよ!!


夏!
大名・染五郎が
腰元たちと舞に興じて暑さを凌いでいる。
家来の太郎冠者・幸四郎から
長良川の鵜飼の話を聞いて、
鵜飼をやってみたくなった大名。
ここぞとばかりに、
日頃から人使いの荒い大名に
仕返ししてやろうと企む太郎冠者。
自分は鵜飼、
大名を鵜に仕立てての指南が始まりーー。

腰元たち、
撫子・笑也、浮草・宗之助、
菖蒲・高麗蔵の見目麗しさと
衣装の色使いの美しさに目を奪われ♡

うんっと手や足を出して、
腰元に扇がせる大名が、いや、
長裃姿の染五郎がかわいいっ♡


その後は、もうひたすら
幸四郎・染五郎親子の
アクロバティックな舞踊を楽しむ演目と
なっておりますゆえ。

途中の長縄、ムーンウォークは
鉄板でございますゆえ。(あ、タナカも?)

………ふふふ♡
あ~~、楽しかった♡♡