8月15日

本日劇場入り。

色々なことがありすぎて、書ききれない。書ききるなんてモチベーションは一切封じ込めて、ささやくように文字を連ねる。



稽古は最高の日々だった。朝から晩まで稽古場は稼働し続け、捲り子、語り部、スタッフ、みんな前のめりに冒険したように思う。

やったことがないことをたくさんやったので、思う存分、てんてこ舞いだった。


てんてこてんてこ。


やったことがないことに挑む時は、不安で息が浅くなる。なにせ、そもそもやれるものなのかどうかというのがわからないのだ。ただ、「無理かもな」と思い始めたら絶対にやれっこない、というのだけは確かで、念入りに必死で、やれると思い込むのが最初にして最後の闘いだったりする。


実験の日々だった。10人の語り部、7人の捲り子、振付師、演出助手、舞台監督、音響、制作部、小道具班、みんながみんな、自分のセクションの仕事からはみ出した部分までがんばって、作品創りを支えてくれた。


情けないことに、やりたいことに比べて、予算の都合で圧倒的に人数が足りず、時間も十分ではない。また、シアターミクサというのは元映画館ということもあって、劇場の機構がなかなか難しい。だけど、やりたいことは、やってみたいのです、と、頑固に決めてやってるうちに、なんとかなったりする。


うまくいってないことも、実はたくさんある。でも、うまくいってることも、ある。


思い出してみれば、路上で独りぼっちだったのだ。たかだか自分ごときが、こんなに素敵なものに囲まれてる奇跡というかまぐれに、感謝を抱くばかり。


こうちゃん、真一、ゆうすけ、しょう、さくらこ、ゆい、そして、さひがしさん、めぐ、りんちゃん。ミックスキャストがとてもうまく機能している。なんか、目に見えず、数値化できない魔法めいたものだけど、「座組によって作品てどうにでもなってしまうよね」という理論でいうところ、座組によって、物語が輝きを増してるように思う。雑談の暇がほとんどないためみんなの心の内を確認できたわけじゃないけれど、「互いにライバル意識を持ちながら負けじとがんばる」なんて空気は特にないように思えて、互いが互いのために、作品、物語のために誠実に必死に現場に挑んでる印象。人と人の絆についての物語をやるにはうってつけのコンディションなように思う。



やりたいことをやろう、というのを、自分に許そうと思って、創りたいもの、思い浮かんだこと、やれるだけやり続けてる。同世代の演劇人がどんどん洗練された物作りをしていく中、どんどん、昔の感性に退化していく。散らかし癖が止まらなくなってくる。

魚はぜんぶで39匹。世界への感謝の気持ちでこの数にした。


8月16日

場当たり。当たる箇所の多さに頭がクラクラするけれど、演出助手のたずこさん、舞台監督のすみかさんが信頼できすぎて、幸せだ。大きな音が鳴り、光が溢れ、みんなが駆け回る世界は自分にとっては無限への扉なところもあって、永遠に場当たりしていたいくらい。でも、だめ。時間があまりにシビア



あっという間に夜。退館後も打ち合わせ続き、家路でも電話打ち合わせ。ほんとは、語り部とも捲り子ともスタッフとも、もっともっと喋りたい。小さい頃、ご飯食べながら「お腹減ったー!」と叫んで母に笑われたことがあるが、そんな感じ。この上なく遊んでるはずなのに、もっともっとやりたくてたまらない。

8月17日


さあ、今日も場当たり。夜はゲネ。がんばるぞ。噛み締めるぞ、人生で最後の2022年8月17日。


今日もあなたが幸せでありますように。

心から願ってます。