そう言えば、あたし、先日ワクチンを打ったのよ。打ちたくないと思い続けていたし、どんなに口を酸っぱくして言われてもインフルエンザワクチンも打たない人生だったんだけれどね、あたし、来月、ルーマニアに飛ばなくちゃいけないの、そのためには、打てって言うの。悩んだわ。悩んだけれど、国際演劇祭に招致されて、自分の脚本演出した作品を提出できるだなんて、こんな、名誉なこと、ないものね。作品は日本で仕上げていくけど、劇場入りして完成させたいものね、あたし、演劇するために天から遣わされたのだものね、わかってるわ、わかってるの、だから、あたし、注射大嫌いなのに、打たれたわ。打たれたの。何日か、腕が痛かったわ。まだ痛いわ。なぐさめて!
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リモコンを買いに行った。アトリエに、前に住んでいた人が置いていってくれたエアコンで、なかなかに長老みたいな、堂々たる風格のあるエアコンだ。割と大きめの音を発しながら、いつも厳かにエアーをコントロールしてくれていたのだけれど、彼自身をコントロールする機械、リモコンが壊れてしまったのだ。窓を開けてもさほど風通しの良くないアトリエである。これは、なかなかシビアだ。シビアだと思いつつも、「めんどくさい」という強大なエネルギーによって、しばらくの間ずっと痩せ我慢をしていたのだけれど、実は、この日、アトリエで取材があり、さらには、15日からおぼんろ の稽古も最初の方はアトリエでやることになっており、そして、そうか、7月も半ばなのですね、なかなか、いよいよ、暑い。
昨日、ほんのちょっとアトリエの掃除に来てくれた母(取材の人が来ちゃう!でもものすごい散らかってる!助けて!と泣きついた)が言うには、「電気屋さんに行ったら、対応しているリモコン売ってるよ」とのことで、買いに行くことに。リモコンが壊れたからエアコンも買い換えないといけない世界線だったらどうしようかと思ってたけれど、そうなんだね。なるほど。それにしても、リモコンはしょっちゅうなくすし、壊すし、リモートじゃなくていいから、エアコンの脇に手で押せるスイッチつけておいてくれればいいのに、と思う。まあ、我々が「リモート」ブームにのまれたのはまだ一年前。そこから先があるのかな。リモコンと本体の関係性ってどんななのかな?本体のやつ、「離れたところからこっちを操作しやがって」て思ってるのかな。それとも両者、「離れていても大丈夫なんです。一心同体なんで」てなってるのかな。もしも後者だとしたら、コントローラー買い換えるの忍びないな。買い換えたとしても、捨てないでおいといてあげよう。
なんてことを考えながら、電気屋さんへ。型番がわからないといけないと言うことで、コントローラー持参。
「東芝ですね」と言われた。そうなのか。東芝だったのか。と店員のおじちゃんは、かちゃかちゃとリモコンをいじって、まるで接骨院の名医みたいに言った。
「ははぁ、こいつぁ、液漏れしてますな」
液漏れ?電池ですか?彼はそれには返事せずに、何秒か「・・・」と宙を見つめるや、さっと踵を返してレジのあるカウンターに足早に歩き出した。僕は戸惑いながら、追いかける。どうしたんだろう。
レジに着くと彼はドライーバーのようなものを取り出し、リモコンに対してガリガリと何かしらの術を施し始めた。「・・・東芝だと(ガリッガリ・・・)取り寄せになるんでさぁ。(ガシャ、カチ、ガリッ)そうすると、・・・かなり高額になります。1万円を超えることも・・・」
い、1万円!?悲鳴を上げそうになった。
しかし、ドクターは・・・
「動きましたがね。」
と笑った。みると、さっきまでうんともすんとも言わなかったリモコンの画面に、文字が表示されている。ぴっ、ぴっ、と、小さな音が聞こえる。ドクターが操作するのに合わせて、ピッピ、ピッピ反応する様は、なんだか可愛らしい。
「す、すごい!ありがとうございます!!何をしたんですか!?」
「ははは、まあ、大したことは、してませんよ」
ドクターは笑いながら言った。「いいリモコンです。これほどの機能がついている。ちょっと、こちらへ・・・」案内されるがままに奥の棚に行くと、おびただしい数のリモコンが売られていた。各社の専用リモコン、どんな会社のものにも対応しうる万能リモコン、「まあ、この辺りは、設定がね、必要なんですな。例えば・・・」
ドクターはそこから15分ほど、リモコンについて渾々と語ってくれ、そして、「ありがとうございました」と笑うと、僕を見送ってくれた。なんてことだ。直して、いや、治してくれなかったら、買ったのに。
あの人、本当に店員さんだったのかな。リモコンの精霊?次行ったら、もういなくなってたりしないかな。
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『瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢を歌った』のことで、ローソンチケットさんが取材を組んでくれた。ローチケにはもうずっととてもとてもお世話になってる。「ひっさしぶりーーーー!!」と再会を喜ぶ。昨年は『メル・リルルの花火』でお世話になっていて、ギリギリまで粘ったのだけれど、結局最後は全公演を言い値公演にしてしまった。なので、ローチケさんには、たくさん動いてくれたのになんの収入も渡せなかったもので、ああ、恩返しをしたい。公演よ、成功してくれと願う(チケットが売れれば売れるほど、手数料がローチケに入ってくれるシステム)
そしてインタビューしてくれたライターは横川良明さん。媒体の取材でどんなライターさんが来てくれるかは偶然のようなところもあって、何人かいらっしゃって、「わあ!お久しぶり!」と言う再会がちょくちょくあっていい。この、横川良明と言う人のことを拓馬はものすっごい好きで、数年前に取材してもらって以来、おぼんろ でも、個人でも、いろんな文章を書いてもらったりもしてる。描く文章が好きだし、話してるのが楽しい。人間も好き。
で、取材を受けたのだけれど、取材ということは宣伝をしなくちゃいけなかったんだけれど、ただただずっと雑談をしてしまった。我ながら、ほんと、喋り続けてしまう性格で、時間係がいないトークイベントなんかやったらあっという間に数時間になっちゃう。大切なことをまとめて話す能力がとっても欠落してる。まあ、でも、とりとめもなく話している中に宝石が紛れてて、自分でびっくりすることもある。素敵なライターさんて、そう言う言葉を思わず吐き出させてくれるものです。
記事の公開、いつかな。お楽しみに。
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美術会議もした。美術家の竹邉奈津子(たけべなつこ)には、『ハッピー!〜夢ヲ見ルマデハ眠レヌ森ノ惨メナ神様〜』と言う作品で小道具手伝いとして入ってもらってから、その後、美術家として依頼するようになり、そこから、ずっとおぼんろをやってもらってる。外部演出をするときにも良く仕事を頼むし(この前のロマンチカとか、イムリとか)、なつこめ、いつの間にか超売れっ子になってしまっていて、最近じゃ俳優として言った現場の美術がなつこと言うこともよくあるし、業界で共通の知人だらけだ。出会った頃は、大阪の美大を卒業して上京したばかりで、プロになれたらいいね、なんて話していたってのに。今じゃ、パルコプロデュースの美術家ですよ。どうだ、すごいだろう。以上、身内自慢でした。
うちの美術は、いつもすごいよ。なんと言うか、僕の中では明確な美的世界があって、それは決して一般的でもなかろうし、時代の流行に乗っかってるわけでもないと思うのだけれど、でも、曖昧じゃない。だから、その感覚をシェアできる人としか一緒に仕事をできなかったりもする。衣装、ヘアメイク、美術、三者ともアーティストなのだけれど、今回はひときわ気合が入ってる。
で、リュズタンの美術模型を、昨日持参してくれた。
叫んだよ。叫んだ。嬉しかった。動画を撮って、劇団員にシェア。さひがしさんが「お客さんに公開しよう!」て連絡くれて、ベストタイミングを見計ってる。美術だけでも一つの作品になるだろうので、写真や、動画もたくさん撮るけれど、できれば、現地、劇場で、目の当たりにして欲しい。
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作品について、そろそろ、腹を決めて、挑む。明日15日はついに顔合わせ。焦ってるわけではなくて、もう、早く、早く形にしたくて頭がおかしくなりそう。こんなときだけれど、ワクワクしてる。幸せになりたい。幸せだーーーーー!と叫びたい。叫ばれた方も思わず「こちらこそだーーーー!」て叫んじゃうくらいの強さで、圧倒的に幸せビームを発したい。
劇団員の高橋倫平が長らく微動だにさせてなかったツイッターを再開させた。こう言う些細なことが、普通に嬉しい。
先日の、さひがしさん。車に乗せてあげた。
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最高の気分。最近、すごいアイデアがたくさん浮かび続けてる。話すと「すごいですね!でも、そんなことできます?大変すぎますぜ」みたいに言われる。すごいアイデアってのは、大抵、実現が大変なんだ。でもなぜか、すごくすごく、なんの計算もしてないけれど、自信だけはありまくって、「だいじょうぶです!」と言い続けてる。「いま自分、最強なんで!」と。多分、ここから先の人生、すっごい自分は強いと思う。なんか、力が二倍になってる気がする。護られてるし、背中押されてる。そう信じてる。
えんやこら。
ハッピー!


