5月2日は千秋楽のはずだったのです。

 

数日間、もう、すっごい、行き場のない気持ちでモヤモヤしながら、毎日演出しに通うつもりだった草月ホールに幽体離脱気味に心を飛ばしたりもしながら、過ごしました。


時間が空いた分やれる仕事もたくさんあって相変わらず忙しいけれど、気持ちを切り替えきらないと言う愛情表現でもって、ずっとずっと考えていました。

 

ズーン。と言う感じだったけれど、でもやっぱり、「ああ、この公演に関われてよかった!」と感じています。よかったかどうかを決めるのはこれからの未来次第だと思うので、ハッピーハッピー生きていきます。


ああ、本当に本当に、喉元すぎても熱さを覚えていたい。

 

愛したものや、ありがとう言いたいものたくさんあるので、犬が月に向かって吠えるのよろしく、とめどなくありがとう言います。

 

 ながいです。

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君沢ユウキ、ありがとう。頼りになった、本当に。稽古初日、演出家として作品のプランを話し終わった時、本当は少し、不安もあった。だけれど、稽古が終わってから個人的に相談をしてみたら、出るわ出るわ、ユウキくんの演劇愛トーク。あっという間に意気投合して、次第に周りに人が集まってきて、立ち話のまま全員で何十分も、今回我々がどんな作品を創るかについて語り合った。間違いなく、この現場の俳優たちを引っ張ってたのは君沢ユウキだったと思う。同い年。ここで出会えたことに感謝をしてる。俳優としての技術、プロ意識、頭の良さ、人の良さ、そんでもって、どんな時も全員野球をやろうとする心意気。夜中に電話をしたり、いろんなことあったけれど、ぜんぜん、足りない。これからも友達でいてください。早く、また一緒にやれる日を楽しみにしています。

 

瀬戸祐介、ありがとう。ゆうすけも、同い年。しつこいくらいに何度も話したけれど、あなたは本当に、人間としての根っこがどうやら素晴らしくて、それが、芝居にまで滲み出ていて、それはもう、掛け替えのない才能なのだと思ってます。稽古場で、自分に出番がない時もいつもニコニコ稽古を見ていてくれて、たくさんのアイデアを出してくれた。ゆうすけが登場しただけで、場面の雰囲気がバーっと明るくなるもので、もし許されることならすべての場面に飾って置きたかったくらい。稽古最終日前夜の稽古、とっても神聖な時間だったように思っています。涙出たもんなあ。もっともっと、いろんな芝居を見てみたいなと思ってます。これからもどうぞよろしく。

 

富田麻帆、ありがとう。まほちゃん、紅一点の難しさなんて微塵も感じさせないで、とにかく達者な芝居力であっという間に登場人物になりきってしまった。スタッフたちとの稽古後の打ち合わせで、まほちゃんの役作りの素晴らしさが話題になったことがあったくらいです。長身揃いの男性キャストたちの中、だけど一番たくましい精神力を持っていたのは、まほちゃんだったのではないかと思っていたりします。おもしろくて、つよいひと。たくさん助けられた。ありがとうございました。またご一緒できますように。

 

安井一真、ありがとう。たくさん稽古したね。あなたの持っている特別な感受性をどうにか引き出せたらと思ってました。すましたようでありながら天然ボケで、ひとなつっこい。自分では気付いていないかもしれないけれど、稽古場では重要なムードメイカーのひとりになっていました。なつきと二人で自主稽古しているところをいつも遠くから見ていて、がんばれがんばれと応援しながら、とっても嬉しかった。一真がどんどん素敵な俳優になりますようにと心から願ってます。またすぐ再会しよう。

 

前内孝文、ありがとう。たかちゃんも同い年。たくさん話し合ったよねえ、本当。稽古終わった後に演出卓まで相談しにきてくれるたかちゃんが好きでした。いろいろなことを打ち明けてくれてありがとう。悩みながら、試しながら、繰り返しながら、どんどん良い方向に向かっていくの、二人で一緒に真剣に闘う毎日が、とっても楽しかった。腰が低く謙虚なんだけれど、自分のやることに対する責任感がとっても強くって、絶対に妥協しようとしない、たかちゃん。確かな漢気があって、なるほどなキャスティングだと思ったよ。思いました。これからもよろしくね。

 

八神蓮、ありがとう。蓮くんがいるのが、そもそも、嬉しかった。まさか他にもこんなに同い年だらけとは思わなかったけど。共演したときからあなたのことは好きだったけど、今回、あなたがとてもとてもとても信頼のおけることを知りました。作品や役についていろいろ話すときに、実はものすごく心が豊かな人なんだとわかった。もっといろんな役をやっているところが見たいし、あなたの創る作品も観たいし、また共演もしたい。長く永く、同じ時代を生きていきましょう。



大崎捺希、ありがとう。最初はあまりに無口だから、なにを考えてるのかわからなかった。マスクで表情も読めないしね。でも、演出家と主演は運命共同体、二人三脚でやって行こうと話して、闘いが始まった。毎日毎日、本当にたくさんのやりとりをして、二人きりの稽古だとか、たくさんたくさん時間を重ねて、どんなに、大量のオーダーをだしても、なつきはすべて受け入れて、次の稽古の時には自分のものにしてやってきてくれた。おかげで、勇気を持って作品創りができた。本当に、最後の稽古が終わった時には心から信頼をしていた。「やってます感」を一切出さず、愛想笑いとか、そういうのもできず、ただただ、無言で実は全力疾走しているなつき。小さくて可愛らしい見た目とは裏腹に、ものすごく頑固で強い心を持ってる。みんなで「この公演の初日が開けたら、きっとなつき、すごい話題になると思う」と話していたのを覚えてるかな。絶対にそうなったと思う。それくらい、素晴らしいところまで登っていったと思う。まだまだこれからも、一緒に芝居していきたいと思ってます。ありがとう。


 

演出助手の高橋将貴、ありがとうございました。ずっと隣で支えてくれた。決して完璧な人間ではない俺の、足りない部分をたくさん補ってくれた。おびただしい量の情報を、「冗談でしょ?」と言うくらいのスピードで、いくつもの電子機器を用いて処理してくれた。「助手」だなんて言い方は失礼だな、と思いつつ、「助手です」と誇らしく言うあなたも好きです。これから先も、たくさんの作品を一緒に創ろう。

 

美術の竹邉奈津子、ありがとうございました。おぼんろの美術をずっとずっとやってくれ続けているから、今更なのだけれど、外の現場で一緒に闘うのはいつもとても楽しい。稽古に入る前も、何度も話し合った。「作品に合う美術にしよう、だけれど、ありきたりなところに落ち着けず、特別なものにしよう」何度も何度も作戦会議を重ね、稽古場にも何度も来てくれて、具象と抽象の狭間の素晴らしい美術ができた。劇場で照明を浴びさせてあげることはできなかったけれど、最高の美術だったよ。

 

舞台監督の赤坂有紀子さん、演出部の板敷輝、三津田なつみちゃん、ありがとうございました。稽古場にずっといてくれて、その場その場で思いついた小道具など、あっという間に準備をしてくれて、ありがとう。場面が変わり続ける物語を、美術を変えないでワンセットでやる、その挑戦を一緒に楽しんでくれて、たくさんの意見も出してくれた。そして、何かが決まるや否や、すぐに実行に移してくれた。とても頼もしくて、「これは実現できないかも」なんて考えるストレスなくクリエイティブにやり続けられた。ありがとう。輝の稽古場代役、俺らの中でも大評判だった。

 

照明の阿部将之、ありがとうございました。去年からずっと、この作品のことを相談していたね。舞台化は難しい作品だけれど、どうしよう、あーでもない、こーでもない、でも、こう言う風にしたい。そうやってあなたと話し合う時間がとても好きです。稽古場で通し稽古を見てくれたときに、とても良い作品とあなたから太鼓判押されて、もちろん、自信満々で創っているのだけれど、嬉しかった。照明打ち合わせ、楽しかったです。あの場面もあの場面も、本当に美しくなるはずだったよなあ。想像していたあの風景、きっと忘れないでいようと思う。ありがとう。

 

音響チーム、親分の前田規寛さん、今里愛ちゃん、日本有香ちゃん、伊藤香南子ちゃん、ありがとうございました。稽古場で、演出卓の後ろに卓を構えてずっと一緒に闘ってくれた。それがどんなに嬉しかったか。どう言う方向性の作品にしたいかが、こんなに伝わるなんて・・・と感動してた。誰でも楽しめる取っ付きやすさを持ちながら、見た人の生きる糧になるような骨太な演劇作品に仕上げよう、と言う我々の闘い、稽古場最終日にちゃんと答えが出たように思う。あの、渾身の無音のシーン、劇場で息を呑んで体験したかったなあ。ありがとう。みんな、またご一緒したいです。

 

ヘアメイク斎藤萌さん、スタイリスト佐藤朱香さん、衣装進行の小林海優さん、ありがとうございました。衣装着き通しの一度しか、俳優陣が衣装やウィッグを身に付けて芝居することはできませんでしたが、あの日、みんなの芝居がぐっと良くなった。魔法がかかったようでした。本番を想定しての度重なる打ち合わせ、ありがとうございました。日々様々な事情が変わる中で迅速に対応してくれて本当に助かりました。ヴィジュアルチームの空気がとにかく明るくて、とても嬉しかったものです。またどこかでご一緒できればと思っています。

 

制作の長浜あかねさん、漉橋真美さん、ありがとうございました。こんな状況の中、稽古場を守り続けるお仕事、お疲れ様でした。稽古場に入って最初に顔を合わすのはいつも制作さんでした。玄関まで出てきてくれて、熱を測ってもらう、なんだかあのルーティンがお気に入りで、よし、今日も頑張るぞ、と思ったものでした。稽古場の空気づくり、環境づくり、クリエイティヴをしやすい状態にしてくれたこと、心から感謝します。

 

制作プロデューサーの杉田さん。本当にありがとうございました。いつも稽古場で厳しく優しく我々を見守っていて、迷子になりそうなときは冷静に的確に導いてくださった。杉田さんがいらっしゃるから、我々はどんなときも自由なクリエイティブを諦めないでいられました。これからもどうぞよろしくお願いします。



音楽を創ってくれた末原康志、本当にありがとうございました。ありがとう。一緒に創れたこと、本当に嬉しかったです。心から、本当に楽しかった。創ってくれた音楽を携えて稽古場に行って、音響チームに渡して、大きな音で流すと、勇気がぐんぐんと湧いてきて何故か涙が出たものです。物語の冒頭と結末、人物の感情が大きく動く場面、オープニングパフォーマンスと、カーテンコール、など、大切な場面がいくつも、あなたの音楽で彩られました。一生懸命に創ってくれた音楽たち、どれもあまりに素晴らしいものでした。ふたりきりで物を創ることや、おぼんろや末原拓馬個人の作品に携わってくれることもいつも嬉しくてたまらないけれど、二人で外現場の仕事をしに挑む時、なんだか一緒に大海に漕ぎ出すような、海賊めいた気持ちになって、嬉しいのです。これからもどうか、なるべくたくさんの尊い音楽を世界に生み出していってください。あなたの息子として生まれたこと、誇りに思ってます。

 

この公演に感謝します。こんなにたくさんのありがとうを感じさせてくれたことに、心から、感謝します。

 

最後まで読んでくださりありがとうございます。

 

公演のことを応援してくださったり、楽しみにしてくださったり、中止の際には胸を痛めてくださったあなたに、ありがとうございます。

 

またいつか未来にお会いできることを楽しみにしています。そんな夢を一緒に抱いてくださるあなたに、ありがとうございます。

 

 

ありがとうございました。