引き続き、アクロバティックな様相で準備を繰り広げる。一日中みんなと連絡を取り、様々な試作品をこしらえてみる。おもしろいもので、こんなことでもなければ一生創らなかっただろうなあ、という作品や、「こんな会話できなかっただろうなあ」という会話なんかがすごくたくさんある。不謹慎かもしれないけれど、なんか自宅にいながら大冒険をしているような毎日だ。物語以上に物語みたいな毎日だ。いかなる波乱万丈を経ても、絶対にハッピーエンドを目指す。

 

自覚はある。もはや僕ら、現実世界での行動がファンタジーだ。小さい頃に母が読んでくれた『ほらふき男爵の冒険』を思い出す。ホラ吹き男爵のつく嘘はすごい・・・火打ち石がないから自分で自分の目をたたいて火花を散らし代用したとか、放った棒で一気何羽もの鳥を串刺しにしたとか、斧を投げたら月まで飛んでいって取り戻すのに難儀したとか、もう、まさに荒唐無稽で、ハッキリ言って僕は大好きだった。

 

本番まであと2週間を切ったのに、僕らは新しい地図を手にしている。半月にかけてやってきた準備は8割ほど白紙。今まで使っていた筆記用具も画材道具もどっかに行っちゃった。だから僕らは「じゃあ、どっかで泥こねて次の地図描こうぜ」ってな感じになってる。

 

それにしても、『メル・リルルの花火』という物語がすごく好きだ。登場人物たちに勇気をもらう。自分で描いた物語に勇気をもらう。最高の事態だと思う。

 

あなたは幸せでしょうか。幸せであってほしいと心から願う。つらいことも多いかもって思うけど、だいじょうぶだからね。つらい気持ちになるのは仕方ない、だって、すっごい事態だもん。だから、ちょっとパニックになっても当たり前。パニックなことにパニクらないで、大丈夫だからね。

 

僕らが贈ることができるのは大笑いだけなんだけれど、命ある限り、これから何十万年も閉じ込められた事態が続いたとしても、僕らその都度ハッピーなこと考えて贈り物届け続けます。未来永劫、ちゃんと世界は幸せだから、安心して、元気で過ごそうね。