『かげつみのツミ』の続編ができました。


ただし、舞台ではなく、オーディオドラマ。先日、その収録をしました。もう、とにかく、描くのが楽しかった。過去に描いた物語の登場人物たちのスピンオフや続編を無限に描くことのできる権利、それが作者である俺にはあります。そしてそれを、豪華にも本公演キャストで収録するという抜群の幸福感。物語は不死身なんだとしみじみ思う。

びっくりするくらい盛りだくさんのCDになった。まず、長い。公演打てるじゃん、なんてみんなで笑った。現在編集中。

仲間で久しぶりに集まったことも幸福だった。劇団員はもちろんのこと我らが井俣太良と福圓美里も忙しいスケジュールを縫って参加。ふたりは、なんというか、もはや、おぼんろのひとだ、完全に。


舞台の演技と声だけでの芝居はちょっと塩梅が違うのだけれど、福圓美里はなぜかマイク前の芝居もなかなか上手でした。なんでだろう。

CDの中に入る物語を、さらっと紹介してみると、以下の通り。


『ドルグーミンクリスマス』
クリスマスイヴの夜のドルグーミン。捨てられた人形たちはそれぞれのクリスマスへの想いを語らい合う。おんぼろのクマのぬいぐるみシャグベール・ヌエルタ・クマ、年老いた少年木彫り人形のキボリ、七色のカビに覆われた人形焼のハシコロゲ、雨乞いをするてるてる坊主テルテル、筋骨隆々な肉体と繊細すぎる乙女心を持つ豚の貯金箱のチョキ・ザ・マネー・ブー・・・誰もがみんな、かつては誰かのものだった。人形師ツミと共に酒を飲み続けるうちに盛り上がりはするものの、どこか拭えぬ寂しさにも襲われる夜。
 
と、ドルグーミンに暮らすお節介付きのシロクマ人形キュルタムたちの様子がおかしい。どこへ行くのかとこっそり尾行してみると、なんとキュルタムたちは、外の世界へ出かけていくではないか!
 
聖なる夜に繰り広げられる、早いのか遅いのかもわからない、捨てられた人形たちの青春冒険譚。
 
『ツミとジェシーの恋愛相談地下室』
AMドルグーミン放送46.49ヘルツ。ついに放送300回目を迎えた人気ラジオ番組。今回はスペシャルゲストに、ぼろぼろなクマのぬいぐるみ、シャグベール・ヌエルタ・クマをお迎えし、全国から寄せられた様々な恋愛相談のお手紙にお答えします!
 
『キボリの発見したものすごいこと』
ドルグーミンに日に日に増え続ける人形たち。このままではこの地下室はどんどん狭くなっていってしまう!ドルグーミンの未来を心配した嘘つきな木彫り人形キボリは、地下室拡張のために地下を掘り進めることにする。そしてキボリは、信じがたいものを発見してしまうのだが・・・!
 
『チョキは時たま不安定』
今日のチョキ・ザ・マネー・ブーはちょっぴり様子がおかしい。やたらとハシコロゲに喧嘩を売ってくるではないか。苛々しながら相手をするハシコロゲだけれど本当はわかってる、チョキは心の傷つき続ける乙女なのだから仕方がないさ。仲が良いのかわからない騒がしき2人の、とっても大切でどうでもいい、当たり前な毎日に交わされる単なる特別な雑談。
『かげつみのツミ』という物語そのものが、ひたすらに愛についての物語。しかも登場人物たちはすべて世界で一番愛した持ち主たちに捨てられた存在。そんな、どう考えてもチェックメイト食らった後の奴らが、愛と優しさだけを頼りに無理矢理でも笑ってみせるという、そんな、物語。荒唐無稽だからこそ、俺たちに必要な魔法が宿っていると思っています。今回の続編も、オーディオドラマという形ではあるけれど、泣き虫で寂しがり屋の僕らへの処方箋みたいな物語に仕上がりそうです。クリスマスプレゼントのタイミングでこの物語を世に出せることに、感謝しています。








「ドルグーミンからのクリスマスギフトセット」

・物語CD
・アクリルキーホルダー
・語り部のサイン付きクリスマスカード
¥5000

11月30日までご予約可能です。素敵なクリスマスをあたたかく過ごすための、ちょっとだけ贅沢なあなたへのクリスマスプレゼント。贈らせていただければ幸いです。




いまさらなれど、2019年5月のあの時間にひたすら感謝しています。リアルタイムでは大変すぎて気が狂いそうだったけれど、物語は生まれた。みんなで創った物語、これからも長く長く守り抜いていこうと思っています。