大阪にいます。ちょっと長い文章になってしまうのだけれど、公演のお知らせです。

すでに告知はしているのだけれど、今月末に、というか、ハムレットの大阪公演から帰ってきて直後に、単独公演があります。

すっごく、急な企画。
それにはワケがあります。

会場となる王子BASEMENT☆MONSTARというこの場所、自分にとっては実家のひとつのように愛している劇場であって、

過去に『パダラマ・ジュグラマ』『SILVER VINE』『ルドベルの両翼』『かげつみのツミ』という僕の脚本演出する作品を上演してきた。
社長や従業員とも並々ならぬ友情を築いてきた。地下施設まるまる自由に使ってくれと言ってくれて、さまざまなことに挑戦できた。いまの自分の存在ができるまでに、この場所の存在は無視できない。
(社長とももに写真パシャリ)

で、このモンスターという劇場に大事件が起きたのが先月。

貸し小屋として予約を入れていた団体たちが、次々とドタキャンをしでかしたという。それぞれの事情あったろうから、まあ、それについては何も言えないのだけど、でもまあ、会場側としては、深刻。

劇場経営するって相当にスリリングなことらしく、こういう事態が起こると本当に劇場などというものは簡単に潰れてしまうのだそうです。

だもんで、手を挙げたワケです。

toiというプロデューサーの仕切りの元、よし、劇場のスケジュールが空いたところを借りて、我々、なんかやってやろうじゃないか、と。

急な公演というのは自分にとっても応援してくださってるファンにとってもリスクとストレス生じることとは思いつつも、でも、こういうときは、ハプニングやアクシデントは神様の思し召しなんだよね、と力づくで自分の恐怖心を手なづけた。
3日間の開催。はじめの2日は単独公演。

そもそも自分は独り芝居からの叩き上げ。

劇場さえ借りることのできなかった頃は路上でひたすら独り芝居をやり続けてきたし、独り芝居のコンテストなんかいくつかグランプリをもらったこともある。東京での劇場公演や地方ツアーなど、とにかく人と出会う時には名刺渡すがごとく独り芝居を演じてきた。いま上演中のハムレットでも、劇中に独り芝居紡ぐ場面などあり、偶然か必然か、なんだかそれも心地よい。

で、今回は『Hanger Boy』という物語を演る。執筆したのは何年も前の作品。過去に独り芝居で2度ほど興行を打ち、2度目は東京で約1ヶ月のロングランをして、岡山、鹿児島へも地方遠征をした。

実は、自分でもなんでこんな物語を描けたのか不思議なほどよくできた物語。僕には「誰かに描かされた」と思う作品がいくつかあるのだけれど、この物語もそんな一編。だから、物語をひとに広めることを使命だと思ってる。

この物語は、世界のスタンダード、未来の古典になってほしいと思ってる。再びこの物語を上演する機会を見定めていたものの、外部や劇団本公演が多忙になり、新作も増え続け、何年もの間、先延ばしになってしまった。

それを、敢えてこの時期に再び世に放ちたいのには理由もあって、

この物語は、いまの時代にこそ人々に届くべきだと、心から思ったのです。

「演劇」としてではなく「物語」としての純度を高めるため、今回は独り芝居という形態ではなく、敢えて朗読という形で紡ぐことにしました。ご存知、走り回って動き回りたくてたまらない身としては稀なる挑戦ではあるけれど、ベストな選択と思っています。
10月7日、ハムレット東京公演を終えて、大阪へ旅立つまでの休演日。

本番を行う劇場で、公演の打ち合わせと稽古でした。
馴染みの場所で、心通ったスタッフたちと心ゆくまでの、されど緊張感の張り詰めた、打ち合わせ。
劇場オーナーの好意で、現場にて作戦会議。場所の持つオーラや霊感というものは必ず確かにあるもので、耳を澄ませながらに、心沸き立たせながらに行いました。
全身をふりみだして上演していた作品を、朗読で紡ぐ。目に見えるものよりも、参加者の脳内の想像で描き出されるものに願いを馳せる。
『新古典ものがたり』と冠をつけているように、可能であればこの物語は、末原拓馬以外の人間にも語り継いでほしい。そのための協力ならいくらでもしたいと思ってる。そういう意味で、今回の上演は作品を紹介する場でもあったりする。
心を込めて準備につとめます。

仲間たちと寝食を共にし、シェイクスピアという圧倒的な古典とともにある時期だからこそ、自らの細胞が繊細に、だけど力強く研ぎ澄まされているのを感じます。言葉と声と想像力の可能性を探るべく、日々俳優として精進です。



追伸
チケット、まだ、手に入ります。久方ぶりに、近い場所で演らせていただきます。ただただ純度高く、物語を紡ぎます。

ほんのちょいとでも気になってみてくださったのならこれも縁、えんやこら!と勇気を出して、足を運んでいただければ幸いです。

お会い出来ることを楽しみにしております。

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1000年先も語られる

新しい古典が今、紡がれるーー


▶︎末原拓馬『Hanger Boy』

ポンコツロボットと独りの画家の青年の物語。


▶︎末原拓馬×音楽家シモシュのコラボが遂に実現!即興で紡がれる言葉と音の奇跡の瞬間。


10/18(金)-20(日)

BASEMENT☆MONSTAR


https://peraichi.com/landing_pages/view/shinkotenmonogatari



ご予約はこちら

https://www.quartet-online.net/ticket/shinkoten1