昨日、地唄舞の吉村流の吉村雄之輔さんと打ち合わせをして来た。

 

雄さんとはもう何年も前に会っていて、雄さんはかつて「拓馬さん、王女メディアをおやりになられては。マリア・カラスです。」と言ってくれたことがあった(言葉が上品)。

 

素敵だなあ、やりたいなあ、と思ったまま数年がすぎてしまい、そして、今回、フと、先に「カスタネット」で教えを乞いたいと思った。

 

「カスタネット」は、他人を踏みつけて生きることをなんとも思わないドブロクという名前の悪党と、純真無垢な不幸な少女カスタネットの物語だ。昔から僕は女役をやることにはあんまり心理的違和感を持たないのだけれど、今回、自分にとって大切な物語であるこのカスタネットを上演するにあたり、何か普遍的なパワーを持ち込みたいと思った。

 

女型というものに関する考え方は様々あると思うのだが、雄さんの役者論を聞くは自分にとって素晴らしい学びになる。喫茶店で話しながら、雄さんがアレヤコレヤ、仕草をしてくれるのだけれど、アッと驚くことが何度あったことか。「これは、女。これが、女型。これは、ババア、これは、若い娘。」なんて言いながら、目の前で演じてみてくれる。

 

最高だ。

 

「カスタネット」の中に、能や舞踊などの要素を入れたいと思っているのには他にもいくつか理由があるんだけど、一つには、この作品はいずれ海外で上演したいなと思っているのがある。それに、この公演が100年後には「古典」と呼ばれてほしいと思って取り組んでいるというのがある。長く続いているものは、なぜ長く続いているのか、その辺りのことをよくよく考える今日この頃。

 

人の年齢のことなんか話すのは無粋だけれど、でも雄さん今年で、80歳だという。80年分の知識や感性を受け取ると、とにかく心が高揚する。吸収したい。

 

久しぶりに、大きな挑戦をする心積もりになっている。

稽古、気を引き締めようと思うので。

 

みなさん、本番をお楽しみに。

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https://www.quartet-online.net/ticket/castanets