ハンドスピナーてのをもらった。岡山の7歳の親友にだ。そいつが持ってるのを見るまで知りもしないオモチャだったけど、流行っているらしい。ただただ指の間に挟んで、シューーーッと回すだけのオモチャだ。公演が終わった次の日の朝、空港まで見送りに来てくれたそいつが、別れ際に、くれた。

地方公演終わり新たな稽古始まりまごうことなく夏休み最終日でそしてそれなのに今日はやたらと涼しくて、天変地異!?て心持ちにもなってくる。

でも、天や地がいつも同じだなんて考えるのがおこがましいんだぞ、と言うのもわかってはいて、僕らは場所から場所を渡り歩く、流浪がデフォルトの生き物だ

じんせーははくたいのかかくなり

8月は半分も東京にいなかったのだけど、自分としてはレア極まれることであり、おかげでフィジカルコンディションがやや心許ない。されどメンタルは少しスッキリしていて、良い

愛しきクソガキと過ごしていたせいで久方ぶりにお菓子を食べる癖ができた僕はガムを噛みながら、シューーーッとハンドスピナーを回しながら稽古場に向かうのです。

正直、先週までは朝から晩まで毎日会っていた仲間がいまは隣におらず、下手すると一年は会えないかもというのは遠距離恋愛めいた憐憫が表面張力ギリギリなレベルで満ち満ちていて、プラトーンのポスターかと見紛うくらいに膝をつき天を仰ぎたくなる

だけど、とどまれない以上、歩かねばならない、進まねばならない。進んだ先に再会があると積極的に思い込み。

「愚か者は彷徨い、賢者は旅をする」と言う外国の諺もある。

旅だ、旅だ。旅をするんだ。
迷子みたいな、旅をするんだ。
彷徨い続ける旅をするんだ。

ハンドスピナー、シューーーってまわして。